塾業界に地殻変動! 公立中高一貫校の急増で地域密着がカギに
それが、不況の深刻化で私立受験熱に陰りが見られ、ここ数年勢いのあった、私立・中下位校の志望者を多く取り込み広域で展開してきた大手塾は、大打撃を受けている。もしも不況による一時的現象ではなく、中高一貫校をはじめとする公立回帰が本物だとすれば、地域に密着し、地域の公立校受検対策にも対応できる塾が今後伸びていく可能性は高い。
さらに中学受験に詳しい森上教育研究所代表の森上展安氏は、塾業界の今後にも影響する、もう一つの動きを語る。
「あらためて高校受験ということが見直されてくるのではないか。実は、私立難関校では中学入試よりも高校入試のほうが倍率の低い場合が少なくない。首都圏では公立上位校の多くが一貫校化、その分だけ高校の募集定員が減る。適当な公立がないのであれば、思い切って私立難関高校に挑戦しようという動きが活発になるはず」
森上氏によれば、高校受験への注目度の高まりは関西でも目立つといい、京都市立堀川高校のように大量に京大合格者を出す公立進学校に、私立中学からの受験生が急増しているという。進学実績の向上や学費の安さを考え、高校で私立から公立へ方向転換する動きも注目されるところだ。
高校受験があらためて見直されるとすれば、中学受験だけでなく公立・私立を含めて高校受験にも対応できる塾の存在感が、今後高まることは十分に予想される。
公立回帰や高校受験見直しといった動きに対抗するためには、私立中学受験に特化した進学塾にも、よりきめ細かな受験対策が必要になってくるだろう。大きな構造変化にどう対応するか。その巧拙によっては、新たな業界再編が起こるかもしれない。
(週刊東洋経済)
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