塾業界に地殻変動!  公立中高一貫校の急増で地域密着がカギに

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公立志向の高まりで「地域密着」が重要に

 

同じように広域展開をせず、公立中高一貫校対策で成果を出しているのが、大原予備校(東京都千代田区)。今春、1教場から合計115人の公立中高一貫校合格者を出した。簿記学校としての知名度が圧倒的に高いが、千代田区周辺にある私立中学入試対策塾としては20年以上の歴史がある。

「都立中高一貫校として最初に開校した、白鴎高等学校附属中学校の入試対策として講座を設けたのがスタート。だが、実質的にわれわれが1期生と呼んでいるのは、小石川中等教育学校など4つの公立中高一貫校対策で入塾してきた生徒たち。彼らの中で、志望していた小石川などに不合格だった生徒たちが引き続き中学生時代も大原に通い、今春はそのうちの8人が都立日比谷を受験。うち6人が見事に合格した」(宮澤協塾長)。

実は、私立受験に比べて1人当たりの受講料単価が安いといわれる公立中高一貫校対策講座に塾が乗り出す隠れた理由が、ここにある。学費の面で気軽に受検できる一方で、論述問題が多く受検対策を立てにくい公立中高一貫校の合格率は、それほど高くない。残念ながら合格できなかった生徒が引き続き通塾し、高校受験を目指してくれれば、塾にとってはうまみが大きいのだ。

最近、通っている塾の公立中高一貫校対策コースに移った都内在住小6男児の母親は苦笑する。

「去年あたりから塾に『何だか私立中学には向いてなさそうだ』と暗に公立中高一貫校コースへの変更を促されていた。確かに私もそんな気がしていたのでコース変更した。私立中対策クラスにいたときよりも勉強がきつくなくなり、『もっと勉強しなさい』とも言われなくなった。なぜかと思っていたら、最近ママ仲間から『通っている教室では中学生向け講座も開いているでしょう。中学受験で不本意な結果が出ても、そのまま高校受験対策で3年間塾にいるように仕向けているのよ』と聞かされ納得した」

もちろん、一定の合格実績を出さなければ生徒は集まらない。そのための努力は必要不可欠だ。

 

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