塾業界に地殻変動!  公立中高一貫校の急増で地域密着がカギに

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大原予備校同様、都立白鴎開校に向けて2004年に公立中高一貫校対策講座を開始した栄光ゼミナールは、開講に向けた準備の苦労をこう振り返る。

 

「保護者たちからの要望に応える形で、都立白鴎に近い、都内・西大島に設けたのが最初。私立中を受けない塾生が通う『進学コース』を『標準』と『発展』とに分け、発展を公立中高一貫校対策クラスにした。当時すでに公立中高一貫校を開いていた静岡や京都の試験内容を研究・分析してカリキュラムを開発。『進学コース』の内容をベースに、公立中高一貫校向けにコマ数を足したり引いたりしていった。当初はテキストもなかったので『この生徒にはこれが適しているのでは』と全部プリントから入った」(当時の担当・大槻卓氏)。

公立中高一貫校入試は記述が多く、これまで同社の手掛けてきた私立中学入試とは随分異なる。私立中学入試とはまったく勝手の違う「適性検査」への対応だけに、まさに手探りでゼロから作っていったと語る。

多くの小学生受験の経験を積んでいる大手塾でさえ苦心した公立中高一貫校対策講座で、異業種からの参入組がそう簡単に成功できるわけもない。人材派遣事業や介護事業で知られるヒューマンホールディングス(本社・新宿区)は06年に公立中高一貫校対策塾を開いたが、今年3月完全撤退を余儀なくされた。

あらためて高校受験が見直される可能性も

塾生獲得の起爆剤として期待がかかる公立中高一貫校だが、これまで塾業界の地殻変動要因となってきたのは私立中学受験。大学受験で拡大してきたナガセが、中学受験塾の“御三家”の一つである四谷大塚を買収したのは、その象徴だ。

こうしたことは東京圏だけの話ではない。河合塾が日能研と提携して、従来公立が強かった名古屋に中学受験塾を展開したり、関西の有力私立受験塾が他地域に展開を試みたりと、中学受験をめぐるさまざまな動きがあった(下図参照)。

 

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