公立躍進校ルポ-大分県立 大分上野丘高校、私立ばりの進学指導で部活動生が大挙、東大へ《本当に強い中高一貫校》
大分県立大分上野丘高校(大分市)はここ数年、毎年12~13人の東大合格者を出してきたが、09年度は22人に大躍進。九州の公立高校でトップとなった。東大合格者が20人台に乗ったのは34年ぶり。東大以外にも九州大51人、大阪大21人など旧帝大系への進学者が目立った。
同校は旧制大分中学などを母体とする、創立124年の伝統校。地元では地域を代表する進学校として知られている。大分全県を学区としているが、足元の大分市に県内人口の約40%が集中していることもあり、市内通学者が大多数を占めている。
大分上野丘は二つの大きな教育目標を掲げている。「学力の充実向上、進路の実現という学習面。それに自主性・自律性の涵養」(山本省悟校長)だ。この中でも第一の柱である学習面での教育目標は、私立の進学校と比べても遜色のない、学習指導の充実ぶりにつながっている。
まず、コース分けがきめ細かい。文系・理系に分かれるのは他校と同じだが、3年次に文系は、社会1科目の国立大学を狙う「文系1A型」、社会2科目の東大・京大に対応した「文系1B型」、国語・社会・英語3教科の私大向け「文系2型」の3コースに細分化。理系も、理科2科目型の「理系1A型」、東大・京大向けに国語にも重点を置く「理系1B型」、医学部に多い理科3科目をこなす「理系1C型」に分かれる。習熟度別の授業も行われている。
授業以外の学習指導のメニューも豊富だ。たとえば2年次後半から希望者に対して行われる添削指導。オリジナル問題集のプリントが多種類用意されている。生徒は自分の進度に合ったものを持ち帰り、解いたノートを教員に翌朝提出すると、放課後に添削されたものが返却され、解説を受けることができる。また、正規の授業と有機的に関連づけた独自開発の教材を使って、1時限の前には「朝学習」、土曜日には「土曜講座」という補講も実施。このほか、進学指導として、3月には、その年の東大合格者を招いた懇親会を開催、夏季休暇中には東大、九大のオープンキャンパス参加も行われる。