AKB48はオワコンか?転機の世代交代 高橋みなみが今語る「アイドルの王道」

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初期はインパクトのあるキャラクターが多かった。劇場10周年記念公演に登場した大島優子氏(中央)と前田敦子氏(左)(提供:AKS)

CDが売れない時代に楽曲そのものだけでなく、ファンの要求を積極的に取り入れたイベント(握手会)、ライブ(劇場公演・コンサート)を含めた総体としての訴求力で、成功を遂げたAKB48。2015年には40枚目のシングル『僕たちは戦わない』が300万枚と過去最高出荷を記録。歴代のシングル売り上げでもアーティストの首位に立った(オリコン調べ)。もっとも、見掛けのセールスは好調だが、世間を巻き込んでの人気のピークは、「2011年の『フライングゲット』前後だった」(スポーツ紙記者)。

当然、運営幹部の間にも「危機感」は募る。握手会・イベントの統括責任者、紺田大輔・キングレコード制作部長の認識はこうだ。「危機感がないと言えば大ウソ。今までどおりのやり方では、AKBはオワコンになってしまう。拡大路線の中でメンバー、スタッフのやろうとしていることと、ファンの思いとの間にギャップが生じ、ファンの熱が薄れたのは事実」と自省する。握手会は会話などから「ファンとの間に無数のドラマを生むライブコンテンツ」(紺田氏)と考え、工夫を重ねて取り組んできた。しかし、握手会や類似の手法は、乃木坂46など後発グループにも模倣された。

握手以外でもファンを魅了できるイベントの模索が始まった。今年3月発売のシングル曲『君はメロディー』の販促イベントとして、7月に開催する「AKB48グループ夏祭り」の告知には、「名刺お渡し会」「ビンゴ大会」「ものまねショー」「占い」といった、目新しい項目が並んだ。ただし、出し物の多くは未定だ。「各メンバーと打ち合わせ中だが、たとえばおとなしい子に落語をさせるとか、彼女たちの新しい可能性を引き出すものを実現したい。おもちゃ箱をひっくり返したようなカオス状態を期待してほしい」と、紺田氏は意気込む。

AKB48は商店街のお祭りのようなもの

「握手会はファンの熱量。私たちは本気でしてきた」と語る髙橋氏(撮影:尾形文繁)

「AKBなんてたいそうなものでもなくて、商店街のお祭りみたいなもの。大事なことはファン、メンバー、スタッフが皆でおもしろいと思うものを持ち寄って、スクラップ&ビルドで新しいものを創っていくことです。もっとバカになったほうがいい」。こう語る、茅野しのぶ・AKB48グループ総支配人の言葉には、ファンの増加による組織の肥大化や業務のルーティーン化で、発想の柔軟性が失われたことへの反省もにじむ。

加えて茅野氏は「劇場での新公演が(5年間以上)なかったことも停滞感を生んだ」とも指摘。演者は変わるものの、繰り返される既存公演の再演によって、ファンの間にはマンネリ感が漂った。

今年2月10日からは、AKB48として約5年半ぶりとなる、チームA公演「M.T.に捧ぐ」(M.T.は高橋みなみ氏を指す)がスタート。総合プロデューサーの秋元康氏が劇場公演を書き下ろすときは、歌唱メンバーを想起して作詞する“当て書き”だ。自分たちに合わせて書かれた曲をもらうことで、メンバーのモチベーションは確実に上がる。

高橋氏から直々の指名を受け、AKB48グループ総監督に就任した横山由依氏も、新公演のメンバーになるのは初めて。「(2009年に)入った当初からのあこがれで、夢がかなったという感じがする。この公演をたくさんの方々に観にきてもらいたい」と息を弾ませる。「M.T.の情熱を風化させることなく」(初日公演で横山氏が発言)受け継いで、新公演で「新たな風」を吹かせられるか。その手腕に注目が集まる。

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