ちなみに日経新聞の読者に対するアンケートによると「一億総活躍社会」の実現に向けて、働き方の改革で最も期待する取り組みは「非正規雇用者の待遇改善」とのこと。
「非就業の若人などの意識も含め、低所得者層への取り組みがないと、活力ある社会の実現は難しい」(55歳、男性)
「非正規雇用が40%を超えていると思うが、そのような状況では物価だけ上がっても消費が活性化されない」(65歳、男性)
企業が取り組むべきポイントは2つ
ゆえに安倍首相が「同一労働同一賃金」の実現を掲げ、正社員と非正規社員の賃金格差の是正を目指す姿勢を強調したことに7割以上が支持をしているようです。それだけ期待が高い政策と言えるのでしょう。では、日本政府は格差を是正することが可能なのか? まず企業が取り組むべきポイントとして2つあると思います。ひとつめは非正規社員にもきちんとした人事評価制度を導入して、非正規社員であっても高い賃金が得られる仕組みを導入すること。
非正規社員で評価制度がないため、長く働いてくれた、シフトにまめに入ってくれるといった経験やスキルを評価しないで賃金を決めている企業が大半です。
公益社団法人全国求人情報協会の調査によると、非正規社員に対する人事評価制度がある職場は約半数。さらに非正規社員に対する育成支援をしていると回答した企業は2割以下でした。これでは「頑張っても報われない」と思っても仕方ないのではないでしょうか。
そして、2つめが非正規社員と正社員、双方で行き来ができる登用制度の導入。人事評価と本人の意向を加味して非正規社員から正社員に登用する。さらに個別の事情で非正規に戻っての勤務もできるようにするのです。これらができれば、単純な賃金の是正は不要になります。
ちなみに厚生労働省の労働経済動向調査によると、非正規社員から正社員への登用を実施する企業は増えてきているとのこと。景気や企業業績の影響もあるので長期的な動きかはわかりませんが、基本的に少子化で人不足は続く方向にあります。であれば、非正規社員をもっとうまく活用したいという企業が増えてもおかしくありません。逆に家庭の事情などで正社員の立場で継続して働くのが難しくなり、いったん非正規社員になりたいというニーズも当然あるはずです。
政府からの威勢のいい発言以上に、現場で同一賃金同一労働の実施に向けての動きが進行してきているのかもしれません。
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