ニッポン国力増進計画《若手記者・スタンフォード留学記 39》



 ただし、日本の財政状況を考えると、軍事費の大幅アップは現実的ではありません。しかし、今ある軍事力をより効果的に使うことはできます。具体的には集団的自衛権の行使です。

集団的自衛権は「自国と密接に関係がある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止すること」とするのが一般的です。つまり、日本と軍事同盟を結んでいる国が武力攻撃された場合、日本自身が攻撃されていなくても、攻撃してきた国に対して攻撃することを認めるとことです。

たとえば、”近隣の独裁国家”が「アメリカに」ミサイルを発射した場合に、日本の自衛隊がその独裁国家を攻撃することを認める、ということが集団的自衛権の行使にあたります。

日本政府は、「日本には集団的自衛権はあるが、憲法上その行使は許されない」ということを国是とし、集団的自衛権を認めていません。しかし、私は、集団的自衛権を認めれば、日本の実質的な軍事力は、一晩で一気にアップすると考えています。

集団的自衛権の行使ができれば、PKO活動などで他国の部隊や隊員が攻撃された場合、反撃することができます。これが認められるだけでも、日本が参加できるPKOなどの活動の範囲と迅速性が高まるはずです。もちろん、上記の通り、独裁国家を武力攻撃することも可能になるのです。

集団的自衛権を認めるメリットは、日本の軍事力が実質的にアップするというだけではありません。日本が実行できる政策の幅も一気に広がります。

第1に、アメリカとの連携が進めやすくなります。

現在、日本から中東につらなるシーレーン(海上輸送路)は米国が守ってくれているわけですが、その任務に自衛隊も参加しやすくなります。日本は中東に石油の大半を依存しているわけですから、これは日本の国益にも合致します。

借金まみれかつ中東にかかりっきりのアメリカは、これからアジアの兵力を削減する可能性があります。アメリカをアジアに繋ぎ止めるためにも、シーレーン防衛により深くかかわるのは、日本にとって有益だと思います。

日米同盟を磐石なものにしておけば、いかに中国が軍事力を拡大したとしても、当分の間、日米同盟側に有利な軍事バランスを保てます。

第2に、東南アジア、インドなどの日本の友好国と軍事演習を行えるようになります。

今の日本は、経済面以外での友好国とのつながりが強くありません。軍事面でも、中国を牽制する役目を果たせば、友好国の日本を見る目が変わってくるのではないかと思います。

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