海運大手3社徹底比較! 追い風受ける商船三井、郵船はコンテナ船値上げに懸命、為替に戦々恐々の川崎汽船
日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運大手3社は、BDI(バルチック海運指数)の急騰で前上期(2008年4月~9月)に半期ベースで過去最高の売上高、営業利益を計上した。だが、鉄鉱石採掘世界最大手、ブラジルのヴァーレと中国との鉄鉱石価格交渉決裂でBDIが急落。その後のリーマンショックに端を発した米国景気後退で荷動きも急減。つれてBDIも過去最低の水準にまで落ちこみ、前下期は大幅な業績悪化に見舞われた。商船三井の前下期の営業利益は前上期の5分の1以下に、日本郵船は10分の1以下に、川崎汽船は営業赤字に転落した。
今2010年3月期の通期営業利益予想は、日本郵船が530億円(63%減益)、商船三井が800億円(59%減益)、川崎汽船が160億円(77%減益)。
今期営業利益計画:
日本郵船 530億円
商船三井 800億円
川崎汽船 160億円
これを半期ベースで見ると、今上期(09年4月~9月)に日本郵船が営業赤字に転落。川崎汽船は2半期連続で営業赤字となる一方、商船三井は今上期も営業黒字を維持する計画だ。
半期営業利益 商船三井 日本郵船 川崎汽船
08年4月~9月 1646億円 1348億円 747億円
08年10月~09年3月 325億円 101億円 ▲31億円
09年4月~9月(予) 240億円 ▲180億円 ▲50億円
09年10月~10年3月(予) 560億円 710億円 210億円
もしもそれぞれの会社計画が正しいのならば、半期ベースでは下半期に序列が逆転。日本郵船が首位に立つことになる。ところが、04年3月期から、売上高では日本郵船が“海運最大手”だが、営業利益では商船三井が“国内海運業で最大”という状況が続いている。
会社計画の前提が各社バラバラなので、3社ともに会社計画どおりの営業利益になることは論理的にありえない。
最大の違いはバラ積み船の市況見通しだ。日本郵船は海運市況の前提をBDI(バルチック海運指数)ベースで上期2000、下期3000とおいているが、これは大手他社が公表しているケープサイズ(D/W15万トン以上の大型船。D/Wとはデットウェイトのことで載貨重量)に引き直すと、上期3万ドル、下期4万5000ドルに相当する。これは海運大手3社中で最も高い市況前提だ。
バラ積み船の市況前提:
上期 下期 通期
日本郵船 3.0万ドル 4.5万ドル 3.75万ドル
商船三井 2.3万ドル 2.8万ドル 2.55万ドル
川崎汽船 3.0万ドル 3.0万ドル 3.00万ドル