海運大手3社徹底比較! 追い風受ける商船三井、郵船はコンテナ船値上げに懸命、為替に戦々恐々の川崎汽船


 日本郵船の広報・IR担当の甲斐幹敏・経営委員は、「4~6月の荷動きは1~3月の低調を引きずっているが、7月から徐々に回復に向かい、下期に一段と回復する。BDIについては、そんなに悲観的になることはないのではないか」と話す。商船三井の武藤光一専務は「上期のバラ積み船の竣工予定はほとんどないのに、下期に100隻近くのバラ積み船の竣工が控えていることがアンサートゥンティ(不確実性)としてある」と指摘する。川崎汽船の佐伯隆常務に、上期と下期で市況想定が変わらない理由を聞くと、「下期に(市況前提を)上げる根拠がない」と手厳しい。

ここでマーケットに聞いてみよう。4月1日~6月4日までのケープサイズの1日当たりの用船価格(=スポット運賃)は最低が1万7081ドル(4月6日)で最高が9万3197ドル(6月3日)、平均は3万4075ドルだ。オーストラリアの山元(鉄鉱石採掘会社)、リオ・ティントが「カネに糸目をつけずに船を押さえに来た」(海運関係者)ためにケープサイズは暴騰した。特に5月下旬~6月初頭は「パニック・マーケット」(同)の状態で、6月2日には1日で1万4115ドルも上がった。しかし6月4日には1日で7550ドルも下げるなど今後に暗雲が垂れ込み始めている。

もし、上期も下期も日本郵船の想定どおりになったらどうなるか。商船三井によれば、ケープ以外の中小型の船型もツレ高になることを前提に(特殊事情がなければそうなるのが常だが)、商船三井の営業利益は会社計画よりも200億円上ぶれる。このことは日本郵船も認めている。

次にコンテナ船の見通し。日本郵船は、荷物は増えないが下期中心に運賃値上げが効いてくるほか、係船(=港に船を係留すること)をするなどして船費を削減。上期170億円、下期330億円、通期で500億円のコストを削減するとしている。日本郵船の甲斐経営委員は「実現可能な数字」としている。商船三井は、全体の荷物量は減り、運賃は4月に若干上がった欧州航路は以後横ばい、北米の運賃は交渉中だが現状維持の見込み。コスト削減は250億円で「8割メドがついている。さらに上積みしていきたい」(武藤専務)。コンテナ船を含めたコスト削減計画は400億円だが、100~150億円の削減額の追加策を模索している。川崎汽船は積み高横ばいで「運賃は下がる」(佐伯常務)前提。川崎汽船は通期で300億円のコスト削減を見込んでいる。

コンテナ船の経常利益見通し:
         上期     下期     通期  コスト削減額
日本郵船 ▲320億円  160億円  ▲160億円  500億円
商船三井 ▲130億円  ▲70億円  ▲200億円  250億円
川崎汽船 ▲140億円  ▲80億円  ▲220億円  300億円 

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