海運大手3社徹底比較! 追い風受ける商船三井、郵船はコンテナ船値上げに懸命、為替に戦々恐々の川崎汽船
1~3月期のコンテナ船の赤字が日本郵船が最も大きく、商船三井が最も小さかったことを考えると、上期の経常赤字額の想定に違和感はない一方、下期に日本郵船のみ黒字化するというのは違和感を否めない。3社ともコンテナ船の荷動きの想定に大きな違いはないものの、運賃については日本郵船が「上がる」としている一方で、商船三井は「横ばい」、川崎汽船は「下がる」とまちまちだ。日本郵船の甲斐経営委員は「前提となる運賃水準が3社で異なる。日本郵船の運賃想定は川崎汽船とほぼ一緒。(日本郵船の今期コンテナ船の計画には)『底にはりついた運賃から上げるんだ』という意思を込めている」と反論する。「復路の荷量だって違う」(甲斐委員)。日本郵船の半分のコスト削減で計画が達成できるのだろうか、と商船三井を心配する余裕すら見せる。商船三井の米谷憲一専務は「商船三井は安値の用船契約が多く船舶経費が安い」と意に介さない。
10年3月期の為替や燃料油価格の前提と感応度は以下のとおり。感応度は経常利益に対するもので、営業利益に対しては表記よりも感応度は高いと見られる。
商船三井 日本郵船 川崎汽船
為替前提 97円/ドル 95円/ドル 100円/ドル
同感応度 17億円/円 13億円/円 4.5億円/円
燃料油前提 300ドル/トン 275ドル/トン 300ドル/トン
同感応度 2億円/ドル 2億円/ドル 1.9億円/ドル
為替や燃料価格がどうなるかは予断を許さないので「東洋経済オンライン」の予想には見込まないが、為替動向は川崎汽船にとって業績下押し要因となりそうだ。バラ積み船は市況変動が激しいとはいえ商船三井の前提は低すぎる、というのが東経オンラインの結論だ。コンテナ船は日本郵船の想定に下振れ懸念があり、運賃値上げの動向を今後見極める必要があると見ている。
東経オンラインの今期営業利益予想:
日本郵船 530億円(会社計画線だがコンテナ船に下振れ余地)
商船三井 1000億円(会社計画に200億円上乗せ)
川崎汽船 160億円(会社計画線だが為替動向次第では下振れ)
(注)BDIは、1985年を1000とするバラ積み船のスポット運賃総合指数。英国のバルチック海運取引所が、世界の主要な4航路のスポット運賃相場を船体の大きさ別に聞き取り調査した平均値をベースに算出、平日の英国時間午後1時(日本時間午後9時頃)に発表している。BDIの史上最高値は2008年5月20日の1万1793。
(山田 雄一郎=東洋経済オンライン)
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