”既得権益”崩壊は、マスコミ人の働き方をどう変えるか?《若手記者・スタンフォード留学記 38》
取材のアポをとるために、いちいち自分の肩書きを説明したり、人脈をたどっていたりすると、コンテンツ作成自体に割く時間がなくなってしまいます。
待遇面では、社員よりは少ないですが、ある程度安定した給料をもらえますし、フリーのジャーナリストに比べれば、路頭に迷うリスクは大きくありません。
個人として自由度が高いので、ジャーナリストとしての副業(出版、ウェブサイト運営、教育、講演など)で成功すれば、名前も売れますし、合計収入もサラリーマン社員より大きくなるでしょう。
これから、正規社員の待遇が落ちてくるにつれ、この形態は、社員側にとっても、会社側にとっても便利になるでしょう。社員としては、新たな可能性を試せますし、会社側も、いざとなれば首を切れる社員を柔軟に雇えるようになります。
2つ目の働き方は、助っ人としての契約です。
すでにある分野で名を確立した人物を、期間限定で専属で雇うといったかたち。「金融分野のニュースを強化したいので、2年間の限定で彼にきてもらう」といった感じです。この場合提示する年俸は、正規社員よりももちろん大きくなります。
3つ目に、学生や新人に対しても使えます。
今は、新卒や中途採用の場合、筆記と面接だけで正規社員の採用を決めるわけですが、それは企業にとってリスクが高すぎますし、受ける側からみても納得性が高くありません。ジャーナリストやディレクターとしての適性なんて、2、3年は働かないとわからないでしょうから。
ですから、新人はまず、2、3年の契約社員として雇って、その期間で実績を残せたら社員になる、というほうが効率的ですしフェアです(逆に、どうしても採用したい新人は、最初から正規社員としてのポストを提示する)。
最初から、全員を正規社員で雇うことを止めれば、コストが下がるので、今まで2人しか雇っていなかった新人を4人にできるかもしれません。そうすれば、今より2人多い若者に、ジャーナリストとしての能力を試すチャンスが与えられるわけです(同じく、ジャーナリストに向いてない人が、若いうちに自分の適性に気づいて、違う可能性を試せる)。