”既得権益”崩壊は、マスコミ人の働き方をどう変えるか?《若手記者・スタンフォード留学記 38》

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 さらに、資金的に余裕のある会社(NHKなど)にいれば、個人や小さいチームではできない、大規模かつ長期の取材を行うことができます。とくに、テレビの場合は、番組づくりにコストがかかりますし、チームプレーが基本でしょうから、社員であるメリットは今後も大きいのではないでしょうか。

しかも、大手メディアはブランド力があるだけに、世間に対するインパクトが絶大です。これから、マスメディアの影響力は落ちていくでしょうが、それはあくまで相対的なものであって、大手メディアは世論形成の主役であり続けるでしょう。

最後に、日本のメディア企業が、外部から経営者を呼んできて、経営を任せるということは考えにくいので、もしメディア企業の経営にかかわりたければ、企業の社員となり、出世競争を勝ち抜いて、その企業の幹部になるというのが王道でしょう。
 
(2)半分サラリーマン・半分独立型 -- 契約記者・編集者・ディレクターなど

<リスクとリターンの関係>
現在:ミドルリスク・ローリターン → ミドルリスク・ミドルリターン

<特徴>
 雇用の安定性には欠けるが、副業で成功すれば、サラリーマン社員より多くの報酬や知名度を得られる。しかも会社の名刺を使えるので、フリーに比べると取材がしやすい。

私の考える契約記者・編集者という働き方は、大まかに言って3つあります。

ひとつ目が、フリーになるほどの知名度や度胸はないが、所属するメディア以外の仕事にも手を広げたいという人。

今のメディア業界には、「極めてリスクの低い正規社員」か「極めてリスクの高いフリー」という2つの極端な選択肢しかありません。国債とベンチャー企業の株しか売っていない、金融マーケットみたいなものです。その意味で、契約社員・編集者という働き方は、「ミドルリスク・ミドルリターン」という第3の道となりえます。

具体的なイメージとしては、月に何本記事を提供するといったノルマをこなせば、他の媒体で仕事をしたり、副業をしてもかまわない。そして、取材にあたっては、契約する会社の名刺を使わせてもらえるという感じです。

フリーになる大きなリスクは、収入面だけでなく、名刺がなくなるという点にもあります。その時点で、相当に名が売れたジャーナリストでない限り、取材をするだけでも一苦労です(これは別に日本だけの話でなく、アメリカでも同じ)。

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