2016年消費のキーワードは「過剰品質」 元日経トレンディ編集長があげる3つのカギ
「価値あるものを吟味し、お金を払う」傾向が続く
「2016年は、景気の先行きが見通しづらい状況にある」と北村さんは予測する。
2014年4月に消費税が8%に引き上げられ、来年4月には10%へと再度引き上げられる見通し。増税の端境期にある今、消費マインドがこれ以上温まることは考えにくく、今後も「消費にシビアな状態」が続くと見ている。
「実際、『安くて品質はそこそこ』の商品・サービスは昨年来総じて失速しています。大手ファストフード、居酒屋チェーン、有名ファストファッション…いずれも一時期の勢いは感じられません。無駄になりそうなものはいくら安くても買わないが、価値のあるものにはお金を惜しまないという傾向は、2016年も続くでしょう」
一方で、「地方に注目が集まる年になる」とも分析する。
ここ数年、お取り寄せブーム、ふるさと納税人気などの影響で「地方発」の商品が注目され続けてきたが、今後はそのブームがひと段落し、地方発商品の中での「勝ち負け」が明確になると見ている。
「安倍内閣では、成長戦略の一環として農業、漁業などの一次産業の『六次産業化』を掲げています。この『六次産業化』とは、一次産業が生産だけではなく調理、加工、流通、販売までを一元的に担うことを指す言葉であり、参入業者も増えたために地方発人気が盛り上がったわけですが、まだ大ヒットと呼べる商品がさほど生まれていないのが現状。六次産業という言葉がクローズアップされるにつれ、地方の一次産業業者の“戦略”に注目が集まり、売れ行きを左右することになりそうです」