2016年消費のキーワードは「過剰品質」 元日経トレンディ編集長があげる3つのカギ
「中でも『過剰品質』のテーマは、一定以上の品質のものを多くの人に広く届けるという使命を背負った大企業には難しく、中小こそが取りやすいスタンス。『必然性』『あなたさま仕様』のテーマもフットワークの軽い中小企業に強みがありそう。さまざまな地域、さまざまなジャンルから、思わぬ着眼のヒットが飛び出してくると期待しています」
自身の仕事の「生命線」を決めることが価値ある仕事に
ビジネスパーソンは、時代の流れをつかみ、それに沿った企画や提案を考えることが重要だ。2016年の流れをつかむために、ビジネスパーソンはどんなことにアンテナを張り、どんなスキルを磨いていけばいいのだろうか?数々のヒット商品を見続け、その開発者、企画担当者の話を聞いてきた北村さんは次のように分析する。
「ヒットする商品を見ていると、発想力だけでなく“説得力”も非常に重要なスキルなのだと感じます。自身のアイディアをどのように社内の関係者に伝え、商品化につなげるためにいかにうまく説得して巻き込むか――ひとつの発想を商品化につなげる過程にこそ、開発者、企画者の努力と苦労があるのだと。
たとえば、昨年発売され、今も人気が続いているホンダの新型軽自動車『S660』は、軽ながらスポーツカーのようなスペック、スタイリッシュなデザインが支持されています。先日、内装、外装デザイナー2人と対談する機会があったのですが、彼らがいかに社内各署と折衝を重ね、『守るべき部分は死守し、どうしても引かねばならないところだけ引く』を徹底したのかが伝わり、非常に感心させられました。
“軽自動車でもスポーツカー並みのスペックとデザイン”がS660の生命線。そのため、軽では珍しく、オリジナル部品が多数使われています。しかし一方で、コストはできるかぎり抑えなければならない。そこで、内装パネルなどは安価な素材を採用しているそう。これが彼らの『引いた部分』です。しかし、決して安い素材には見えない仕上がりになっているのが素晴らしい。安価な素材でも、いかに高スペックに感じてもらうか。単に『引く』だけではだめ、ということ。試行錯誤を繰り返し、その過程でさまざまな部署と交渉を重ねて、S660というヒット車種が生まれたのです。
企画・開発担当者に限らず、ビジネスパーソンは普段の仕事の中で常に『高品質』と『納期厳守・コストダウン』の両立を迫られていると思います。もちろん、納期やコストを守るのは大切なことですが、担当者として“絶対に守らなければならない生命線は何か?”を理解し、通すべきこと、引かねばならないことをとことん考え抜くことが、より価値のある仕事につながるのだと思います。それに、『これだけは守る』と決めた生命線をつかめていれば、『もう無理!』と思っても、そこからもうひと頑張りするパワーが生まれる。そう感じています」
(EDIT&WRITING:伊藤理子 PHOTO:平山 諭)
リクナビNEXTジャーナルの関連記事
【使いこなせてる?】オフィスライフが快適になる、デスクチェアの便利機能
「今さら」ではなく「今だからこそ」第2弾を発売。『もしドラ』岩崎夏海氏が『もしイノ』で伝えたい“イノベーション”とは
「株式会社」ではできないことがある。認定NPO法人フローレンス駒崎氏の「社会を変える」挑戦
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら