寺も僧侶も仏教も、イノベーションが必要だ 「僧侶の学ぶ場」を作った若きリーダーの挑戦

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この世界に入って学べば学ぶほど、今、お寺は大変な変革期に来ているのがわかります。単に『このままだと、お寺が潰れてしまいますよ』という議論だけではありません。世の中の変化が大きい今、日本仏教も変わらざるを得ない局面にあると思います。

松本 紹圭(まつもと しょうけい)/1979年北海道生まれ。浄土真宗本願寺派光明寺僧侶。一般社団法人お寺の未来理事。蓮花寺佛教研究所研究員。米日財団リーダーシッププログラムフェロー。超宗派仏教徒のウェブサイト『彼岸寺』を設立し、2012年、若手住職向けにお寺の経営を指南する「未来の住職塾」を開講。著書に『おぼうさん、はじめました。』 『"こころの静寂"を手に入れる37の方法』『お坊さんが教えるこころが整う掃除の本』『お寺の教科書』など

大きく言えば、人類にとって仏教、宗教の精神性のようなものが大切になる時代。

私が仏教やお寺をイノベートしたいというよりは、仏教自身がイノベートしたがっているし、社会がイノベートされた仏教の登場に期待している部分もあるように思います。そのために、多少なりとも形になることに貢献したい。

しかし、アイデアや仕組みをどんなに工夫しても、一過性のもので終わるでしょう。宗教は、人です。時間はかかっても、ほんとうに意味のあることがしたい。『お寺づくり』という自分の得意なテーマから、『僧侶が学ぶ場』を提供することを始めました」

僧侶のビジネススクール「未来の住職塾」

2012年にスタートしたこの塾は、お寺を預かる住職が地域や宗派を超えて集い、真剣にお寺の課題やビジョンについて語り合い、お寺と地域社会の未来を描く学びの場。すでに350のお寺の僧侶が学び、卒業している。

カリキュラムは、共同経営者の経営コンサルタントで、人材開発プログラムなどを作ってきた井出悦郎氏のノウハウと、松本氏がインドのビジネススクールで学んできた経験などを元に作成されている。現在は一般社団法人お寺の未来として、フルタイム職員4名の体制で運営している。

「寺業と書いて『じぎょう』と読みますが、寺業計画書の策定を卒業課題とし、現状把握やお寺運営の基礎、ビジョン到達のための戦略、マーケティング、リーダーシップ、財務などを学んでいただきます。ビジネスマンであれば現場で経験することでも、お坊さんは経営に関して知識も経験も少ない場合が多い。住職になるプロセスの中に、組織運営を学ぶフローがありません。多くは、先代のやり方を踏襲しているのみ。しかし、これからはそういうわけにはいきません。

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