多くの若手僧侶がそうであるように、池口さんも「どうしたら仏教をもっとわかりやすく伝えられるか」という課題に、自分なりに向き合っている。ひとつ成し遂げたのは2009年に編集長となって創刊したお坊さん発信のメディア『フリースタイルな僧侶たち』。お坊さんたちが誌面の中で飛んだり跳ねたりギターを持ったりしているフリーペーパーである。
「実は、僧侶としてこれからどうしていくか、追い詰められて、ほかに打つ手がなかったんです。『この閉鎖的な世界に、なんとか風穴を開けないと!』という状況で。今から7年も前ですから、当時は批判する人も多かったですが、今、仏教に対する空気が柔らかくなったことのきっかけのひとつにはなったと思います」
「お経って、わかんないよね」
その活動の中で「経典をナナメから読む会」も池口さんが取り組んでいることのひとつ。その解釈の仕方が、実に本音トークなのがいい。たとえば「お釈迦さまが生まれてすぐに7歩、歩いたなんて嘘やん」と言ってしまう。経典の言葉は信じなければいけないはずなのに、「経典に書いてあることってわかんないよね」と言ってしまう。
「若い人が仏教を学びに来てくれるんですよね。今までは考えられなかった。お坊さん仲間には、私の経典の読み方のスタンスに強烈な違和感を覚えた人もいたようですが、現代人にもわかる言葉で伝えることが大切です。昔の人々のぶっ飛んだ世界観をそのまま語っていても意味がないと思います」
2015年11月1日から10日間にわたって、地域の5つのお寺で『十夜フェス』というイベントを行った。SNSで連絡をくれた大学生たちと作り上げたイベントで、その中でコンテンツの軸になったのは念仏体験だった。
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