「仏教の世界観のもと現代を生きる方法」とは 経典の本質を守りつつ、伝え方はポップに

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2015年11月に開催した「十夜フェス」。京都の5寺を舞台に、念仏体験やアート展示などさまざまなコンテンツを用意した
お寺業界はどこへ向かっていくのか。第4回は、京都にある龍岸寺住職の池口龍法さんにお話を伺う。毒舌と笑いを挟んだトークが絶妙な池口さんは、私が名付けるなら「インテリ僧侶」。その知識量と頭の回転の速さは、今までお会いしたお坊さんの中でも群を抜いている。現在、経典の翻訳を進めながら、仏教を伝えるためさまざまなアクションを起こしている。

第1回:「寺社フェス」仕掛けた若き僧侶の正体

第2回:おしゃれな「寺カフェ」は布教の新スタイルだ

第3回:寺も僧侶も仏教も、イノベーションが必要だ

多くの若手僧侶がそうであるように、池口さんも「どうしたら仏教をもっとわかりやすく伝えられるか」という課題に、自分なりに向き合っている。ひとつ成し遂げたのは2009年に編集長となって創刊したお坊さん発信のメディア『フリースタイルな僧侶たち』。お坊さんたちが誌面の中で飛んだり跳ねたりギターを持ったりしているフリーペーパーである。

「実は、僧侶としてこれからどうしていくか、追い詰められて、ほかに打つ手がなかったんです。『この閉鎖的な世界に、なんとか風穴を開けないと!』という状況で。今から7年も前ですから、当時は批判する人も多かったですが、今、仏教に対する空気が柔らかくなったことのきっかけのひとつにはなったと思います」

「お経って、わかんないよね」

その活動の中で「経典をナナメから読む会」も池口さんが取り組んでいることのひとつ。その解釈の仕方が、実に本音トークなのがいい。たとえば「お釈迦さまが生まれてすぐに7歩、歩いたなんて嘘やん」と言ってしまう。経典の言葉は信じなければいけないはずなのに、「経典に書いてあることってわかんないよね」と言ってしまう。

「若い人が仏教を学びに来てくれるんですよね。今までは考えられなかった。お坊さん仲間には、私の経典の読み方のスタンスに強烈な違和感を覚えた人もいたようですが、現代人にもわかる言葉で伝えることが大切です。昔の人々のぶっ飛んだ世界観をそのまま語っていても意味がないと思います」

2015年11月1日から10日間にわたって、地域の5つのお寺で『十夜フェス』というイベントを行った。SNSで連絡をくれた大学生たちと作り上げたイベントで、その中でコンテンツの軸になったのは念仏体験だった。

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