モンスターペアレンツの影響は子に向かう 親の不安定さは、子どもの成績にも現れる

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このような状況を電話で、ベテラン室長が保護者の方に丁寧に伝えたところ、信じられない言葉の数々が怒涛のごとく飛んできたのです。

その一部をあげると、「10分の遅刻は1時間、2時間の遅刻に比べて大したことではない」「毎回遅刻したときに怒っているんでしょう。それでいいじゃないですか」「成績が悪いからやめさせるということですね」「だいたい塾に断る権利なんでないでしょ 。こんなこと、聞いたことがない」「あんた人間なの?」「人でなし」「電話をすれば若い女が出るし、気持ち悪い」等々というものであり、最後は一方的に電話を切るという状態です。これがモンスターペアレントと世に言われる状態です。

家庭内が不安定になってはいないか?

クレーム自体は、悪いこととは考えていません。気づかなかったことに気づかせてくれる、ありがたい警告であると考えています。

ところが、度を越して何にでもクレームばかりつける親御さんを持つ生徒の成績は、伸びがよくないことがほとんどでした。このような親御さんは、おそらく塾に対してだけではなく、世の中のすべてに対して文句だらけなのでしょう。クレームをつけることも癖になっているのです。

私がここ20年で感じる現象のひとつに、親が不安定になっているということが挙げられます。例えば、夫婦仲がよくないということや、親の介護で疲れきってしまう問題、仕事と育児の両立に悩んだり、さらに世間体を気にして自分のプライドを維持したりすることに疲れてしまう、などが挙げられます。個人面談では、本来であれば子どもの話をするのですが、お母さんの悩みについての相談である場合がしばしばありました。

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面談では、もし悩みがあるなら、できるだけ家庭に悩みを持ち込まないように、また、1人で抱え込まないように、悩みをどんどん話してもらいます。お母さん、お父さんが家庭で元気のない様子をしていると、子どもは敏感に感じとって不安になるからです。私の経験では、家庭内における不和があった子どもの成績は80%の確率で下がります。ですから、親御さんの悩み相談は間接的に子どもの成績向上につながっているのです。

家庭に笑顔がない状態で、子どもが安心して過ごせるはずがありません。大人がイライラして怒りがちになり、感情に任せるだけの家庭環境では、子どもは家庭に居場所を見つけられず、外をほっつき歩き、悪い遊びを覚える可能性もあります。その後、親を信頼することはなく、喧嘩が絶えない状態になることも多々あります。

家庭円満が、子どもの学習にとっても最高の環境です。毎日をいきいきと過ごし、笑顔がたえない父母の姿は、子どもにとって非常に重要です。

麻田さんのご家庭はどうでしょうか。お子さんのトラブルで心配が絶えないと思いますが、家庭内を冷静に見る余裕を常に持つようにすることも同時に心掛けてみてはどうでしょうか。家庭内を整えるのは、親が子どもに対してできる重要なことのひとつなのではないかと思います。

 

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育専門家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4500人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、カフェスタイル勉強会Mama Cafe(累計1万3千人のママさん参加)、執筆、講演を精力的に行う。教育学修士(東京大学)。著書に『子ども手帳』『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』『子どもを育てる7つの原則』など国内30冊、海外13冊。音声配信Voicyでは「子育てランキング1位」の人気パーソナリティを務めている。

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