さて、以上に整理した情報より抽出される中心的な命題は、遺伝子Xはくちばしの長さ、遺伝子Yは太さの制御に関係し、そしてXとYは互いに影響を及ぼさない(少なくとも本問においては)、という結論である。
種A、種Bのくちばしの形状について少し触れると、種Aではくちばしが太く変化しており、長さは変っていないため、遺伝子Yだけの発現量が変化していると考えられる。一方、種Bではくちばしが短く変化し、太さは変わっていないため、遺伝子Xだけの発現量が変化していると考えられる。
ただ、遺伝子Xはくちばしを「長くする」遺伝子であるから、種Bのケースでは遺伝子Xの発現量が減少したと考えねばならないだろう。
見られているのは問題解決力
以上の分析から選択肢で合致するのは、
③ 遺伝子Xはくちばしの太さに影響しないが、遺伝子Yはくちばしの太さに影響する。
➆ 共通祖先から種Bへのくちばしの形の進化には、遺伝子Xの発現量の変化が関わっているが、遺伝子Yの発現量の変化は関わっていない。
この2つである。
与えられた図で対照と変化を加えた実験群を、それぞれ比較・分析し推理力を駆使すれば、答えはすんなり出てしまう。前述の通り、これにはほとんど生物の知識はいらない。
だが、この問題を解くには推理力・比較力を含めた思考力が肝要であるから、その点では意味がある。こういった能力が重視される傾向は、今後ますます強まっていく可能性がある。
遭遇した出来事に対し、自力で解決していく力がどのぐらい備わっているか――。そういう根本的な部分を見る意図があるのだろう。
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