「きれいなCA」というだけでは婚活に勝てない 東京の「婚活事情」最前線<3>

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奈緒美の同僚や遊び友達の中には、27歳を目前にして真剣に付き合う恋人を見つけ始め、早くも婚約する者も出てきた。彼女たちの相手は皆、医者や商社マンといった優秀な男たちばかり。裕貴を失ったら、これ以上のレベル男が現れるのか? 奈緒美は人生設計に不安を抱き始め、それはもはや強迫観念にも近く自分を追いつめ、自分には裕貴しかいないという思いは強い執着になった。

まわりの友人たちが次々と結婚を決め幸せな花嫁になっていく傍ら、彼女は裕貴からどうしても離れることができなかった。裕貴が時々囁く、「やっぱり奈緒美といるときがいちばん落ち着く」「奈緒美がいちばん俺をわかってくれる」という言葉を糧に、裕貴との関係に希望を持ち続けていたのだ。

裕貴はその年代の外資系の男にありがちないわゆる遊び人で、ほかに何人も女を作り、奈緒美の監視のないフライト中は悪びれることもなく遊び回っていた。奈緒美は四六時中彼に気をかけ、土日は彼に合わせて無理矢理休みを取ったり、仮病を使うまでになっていた。

奈緒美自身もそんな女に魅力を感じないのは頭ではわかっている。裕貴は明らかに奈緒美をけむたがっている。でもどうしてもやめられない。裕貴と離れるのだけは耐えられない。もうこんなに長く関係が続いているのだ、最終的には一緒になれるはずだ。奈緒美は結局、その不毛の関係を3年近く続けた。

「粗末に扱われて、それに慣れちゃったんだよね。感覚が麻痺してたとしか思えない。好きというより、ただの執着。それでも現実を見れなかった。気づけば29歳目前。そんな歳で三年過ごした彼と別れるなんて……あの絶望感は経験者にしかにしか絶対わからない。」

本気で好きな人ができたからもう会えないと、別れは突然切り出された。

奈緒美は意外にもあっさりと身を引いた。少し前から裕貴が自分より3つ若いアナウンサーを口説いているのは知っていた。そしてこの飢えた三年間によって、自分がすっかり昔の輝きを失ったことも自覚していた。「完敗」だった。

下町の小さなマンションに暮らして悟る、東京と結婚

数年前まで同じように東京の夜を謳歌していた友人たちは、結婚をして都内の一等地に住まいを移し、夫に愛され満たされた生活でさらに色香を増し幸せそうに輝いている。

奈緒美は一人のまま下町の小さなマンションに暮らし、そんな彼女たちと距離を置いて過ごすようになった。自分のペースを守るために、必要以上に彼女たちと過ごすのはやめたそうだ。

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