失速する北海道観光で唯一好調な十勝の秘密、スイーツ王国を売り込め!《特集・日本人の旅》
JR帯広駅を起点にワイン城、スイートピアガーデンなどを回るバス「満腹とかち号」を9月から11月までの土日、祝日に運行。札幌でキャンペーンを実施し、地下鉄車内に広告を出すなどして呼び込みを図った。これまで、女性客を中心に約640人が乗車し、バス2台で運行した日も出た。運行は来年まで2年間続ける予定だ。
2年後の11年には、道東自動車道が札幌へ通じるため、札幌からの観光客呼び込みも大きなテーマになる。十勝観光連盟は「温泉や体験型観光はどこにでもある。十勝の特性である食を観光に結び付け、情報発信力を高めたい」と意欲を燃やす。
十勝には、スイーツのほか、豚丼、ナチュラルチーズ工房、農村カフェ、ベーカリー、野菜直売所などが各地に点在する。昨年、札幌から十勝へスイーツの日帰りバスを運行した阪急交通社の担当者は、「十勝には知られざる名店がある。掘り起こせば、まだまだ出てくる」と評価する。
十勝を含め、北海道の食材は昔から高いブランド力を誇ってきた。道庁などが主催し、全国の百貨店で開催する北海道物産展は着実に販売額を伸ばし、07年度は60億円を突破した。とりわけスイーツの伸びが著しく、全体を押し上げている。石屋製菓の「白い恋人」、六花亭の「マルセイバターサンド」、ロイズの生チョコ、カルビーの「じゃがポックル」、そして生キャラメルとヒット商品の貢献大だ。「食の安全・安心に対する関心の高まりも好調の要因」と道庁は分析する。
これまで北海道の物産と観光の接点は、主に土産品の領域にとどまってきたのが実情。道観光振興機構は「食は観光の重要なコンテンツだが、観光と直接結び付いていなかった」と指摘する。それに対し、十勝の菓子業界をはじめ、札幌や砂川に発足したスイーツ協議会、道内各地の“ご当地グルメ”開発などは、観光資源としての食を再認識し、生かしていこうという地元発の挑戦だ。観光資源とするかぎり、販売エリアを地域限定としなければならない、など新たな問題も浮上する。この追い風を逃さぬよう次の対応が待たれる。
(週刊東洋経済)
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