失速する北海道観光で唯一好調な十勝の秘密、スイーツ王国を売り込め!《特集・日本人の旅》

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失速する北海道観光で唯一好調な十勝の秘密、スイーツ王国を売り込め!《特集・日本人の旅》

2006、07年度とプラスで動いてきた北海道の観光客入り込み数が、08年度上期にマイナス4・8%と反転、失速が鮮明になっている。世界自然遺産の認定で人気を集めた知床観光は勢いが弱まり、大ブレークした旭山動物園の入園者数も高止まり。ここへ来て北海道観光の目玉が乏しくなっている。

道外からの来道者数は昨年6月以降マイナスが続き、「昨年9月以降、景気後退で出張などのビジネス客が減っている」と関係者は嘆く。豪州資本によるリゾート開発が進められてきた後志(しりべし)管内ニセコ地区は、昨シーズンは豪州から約10万人(宿泊延べ人数)のスキーヤーを集めたが、今シーズンは円高が敬遠され客数は減少。「2月後半はさらに減少が目立ってきた」(地元関係者)という。

そんな中、農業王国である十勝地方が、「食」を売りモノにした観光で打って出ようとしている。大ヒット商品の生キャラメルを製造販売する「花畑牧場」と、各地に点在する食をつなげ、情報発信力を高めようと、地元菓子業界、観光団体が結集して取り組みだしたのだ。

「花畑牧場」の吸引効果 道の駅も来客2ケタ増

タレントの田中義剛さんが経営する花畑牧場は、帯広郊外の中札内(なかさつない)村にある。昨年の大型連休あたりから観光客が急増し、国道から同牧場に通じる約4キロメートルの村道が、2キロメートル以上にわたって渋滞する日もあった。

3月上旬、売店には夏場のにぎわいこそなかったが、レジには相変わらず人が途切れない。仕事で十勝に滞在中の東京の男性(30)は、「生キャラメルはインターネットではなかなか買えない。お土産としては最高の商品」と、1万2000円も購入していった。07年春に生キャラメルを発売後、同牧場の売り上げは09年3月期100億円以上という驚異的な数字が見込まれている。

07年度は62万人だった村の「道の駅」来場者数も、08年度には70万人前後に達する模様。「朝取りの鶏卵などを買い求めるリピーターが多いが、花畑牧場の波及効果も大きい」と村役場の担当者は語る。道の調査によれば、花畑牧場の08年度上期入り込み数は、前年比15倍に相当する14万人に達する。こうした新たな観光名所の貢献もあり、道内6地区の入り込み数で08年度上期に唯一プラスとなったのが、十勝だった。道内全体の景気後退が顕著となる中、このオバケ商品が持つ吸引力に、期待はいや応なく高まっている。

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