仕事のできない人は不穏なセミナーにハマる 明確な出口戦略がなければ利用されるだけだ

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ビジネスセミナーであれば、出口が用意されているはずです。しかし、外からはまともなセミナーに見えても、実際に受講してみると、そうではないケースもあります。たとえば、精神論がやたらと多いセミナーは要注意。ビジネスセミナーであるにもかかわらず、「『ありがとう』を言うことがすべてだ」とか「お金はあとからついてくる」といった精神論が8割以上を占めるようなセミナーは、出口のない信者をつくるセミナーの可能性があります。

しっかりしたビジネスセミナーなら、「こうすれば集客できる」といった具体的なノウハウや「こうやったらうまくいった」という事例がメインとなるはずです。また、「ポジティブ」であることを過度に奨励するセミナーも、疑ってかかったほうがいいでしょう。たしかに、ポジティブでない成功者は少ないかもしれませんし、私も前向きなマインドは、ビジネスで大切だと説いています。

しかし、たとえば「幸せですか?」という講師の問いかけに「はい、幸せです!」と強制的に大声で答えさせるようなセミナーは、洗脳系のセミナーである可能性があります。セミナー参加者が講師をカリスマとして崇めたてまつるようなセミナーも警戒が必要です。参加者が講師に言われるがまま高額な商品を買ってしまったり、懇親会などで講師の話を誰も正座して聞いていたりするような場合もまた、「信者」をつくるセミナーである恐れがあります。

「信者」をつくるセミナーかどうかも、インターネットで検索すれば、だいたい見極められます。どんなセミナーでもネット上には賛否両論が渦巻いているものですが、過度に悪い評判が目立つセミナーは警戒したほうがよいでしょう。

資格セミナーによくあるケース

セミナーの中には、いくつかの階層(クラス)に分かれていて、ステップアップする仕組みになっている「資格(ライセンス)セミナー」があります。上から「特Aクラス」「Aクラス」「Bクラス」「Cクラス」「Dクラス」……といった具合です。

こうした「資格(ライセンス)セミナー」でよくあるのは、「『特Aクラス』にステップアップしないと、人を指導する免状が付与されない」といったケースです。そうすると、「Bクラス」→「Aクラス」と、時間とコストを払ってステップアップしてきた参加者は、「せっかくここまできたのだから、やめるわけにはいかない」という気持ちになります。特Aクラスまで行かなければ、これまでの努力が水の泡になってしまうからです。

このようにプロセスの途中でやめたくてもやめられない状況になることを「サンク・コスト(埋没費用)」といいます。これは、ダム建設など大型公共事業でよく見られる事例です。

ダムは数十年の長い期間をかけて建設されるものもあります。工事開始後に状況が変わりダム建設の必要性が薄れてきたとしても、それまでかけてきた膨大な時間とコストを考えると引くに引けません。だから、必要性や存在意義などを無視して完成に向けてひた走ることになります。建設中止か推進かで揺れてきた群馬県の八ッ場(やんば)ダムは典型的な例といえます。

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