「セミナー・勉強会を崇める」残念な人の思考 学ぶことが目的化して、成功するはずがない

拡大
縮小
勉強している自分に酔ってはいけません(写真:Graphs / PIXTA)

2015年も残すところ10日余り。仕事納めにはまだ少し早いタイミングですが、この1年を総括しているビジネスパーソンも少なくないでしょう。日々の仕事でどんな成果を残せたでしょうか。そして、みずからの成長を実感できたでしょうか。

「セミナー・勉強会中毒者」の人たちとは?

ここ数年は、転職市場が活況になっていることもあって、従来にも増して「スキルアップ」「キャリアアップ」といわれる場面も増えてきました。ところが、こうしたスキルアップ、キャリアアップという言葉に踊らされて、間違った努力をしている人も少なくありません。象徴的なのが、平日の夜や休日などに随所で開かれる、さまざまなビジネス・自己啓発のセミナーや勉強会へ、頻繁に通っている人たちです。

筆者はこうした人たちを「セミナー・勉強会中毒者」と呼んでいます。彼らや彼女たちの多くは、それらのセミナー・勉強会に参加すること自体が精神安定剤のようになっています。さまざまな学びの場に参加することで、「自分は頑張っている、成長している」と満足するのですが、実態とはかけ離れています。

これは、資格を取ることが目的になっている「資格・ライセンスコレクター」と同じ心理だといえます。これこそ資格試験に依存している状態で勉強をすること自体が、精神安定剤の代わりになっているのです。

資格コレクターの例でいえば、ある人からこんなことをいわれて、あきれたことがあります。「いま会社員で、社労士(社会保険労務士)試験に合格しているんですけど、行政書士の資格も取ろうと思って勉強中です。いずれは税理士にもチャレンジします」。本人は、「どうだ! すごいでしょう」と言わんばかりでしたが、資格試験にチャレンジするばかりで、ライセンスを武器に働こうとは考えていないようです。

セミナー・勉強会中毒者についても、本当は上手に活用すれば、計り知れないノウハウや人脈を得られる機会にもかかわらず、それ自体に参加すること自体が目的になってしまう。なんとも、もったいないといわざるをえません。

次ページどんどん勉強会中毒に陥る理由は?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT