「セミナー・勉強会を崇める」残念な人の思考 学ぶことが目的化して、成功するはずがない

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ではなぜ、このようなセミナー・勉強会中毒に陥ってしまうのでしょうか。セミナー講師でありプロデューサーでもある筆者から見ると、これら中毒者の多くは若いころ、特に学生だった時の成功体験を引きずっていると分析できます。

学生時代の成功体験から抜けきれていない

学生の頃は、勉強しているだけで親や先生からほめられました。その時は、それで成績が上がるのですから良かったのですが、社会に出てからもそれと同じ理屈で動いてしまっているのです。「勉強すれば、ほめられる」「それだけで成長する」という成功体験から抜け切れない大人が、たくさんいます。

偏差値の高い大学を卒業した人でも、社会に出れば社内外で厳しい競争にさらされて、敗北感や挫折感を味わうこともあるでしょう。上司からほめられることなどめったになく、ダメ出しされることもしばしばです。特に営業マンはお客に頭を下げたり、クレームを言われたりするのも仕事。家に帰れば、家族から冷たくあしらわれ、居場所がないという人もいるでしょう。ほめられるばかりだった元優等生にとっては、耐えがたい現実です。

そんなつらい毎日に夢や希望を与えてくれるのが、学びの場なのです。たとえば、「セミナーに毎週通っているんだ」「資格の勉強を毎日しているんだ」などと言えば、周囲の人は、「すごいね」と言葉ではほめてくれます。本音は「そんなことより目の前の仕事をしろよ」と思っているかもしれませんが、ズバリ言えば無用なトラブルになりかねませんから、よっぽど親身に心配してくれる人が周りにいない限りは、誰も指摘してくれません。

セミナー・勉強会中毒者からすると、せっせと自分を磨いているほうが楽しいですし、日々成長も感じられます。だから、「早く今夜のセミナーに行きたいな」とソワソワし、どんどん働かない大人になってしまうのです。そして、セミナー参加者同士で「俺たち頑張っているよな」「日々成長しているな」などと言って慰め合います。だから、セミナー・勉強会中毒者はますます学びの場に参加したくなるのです。

セミナーや勉強会に参加すると主催者や講師からもほめられます。「○○さんは毎回、真面目に参加して向上心が高いですね」などと。しかし、笑い話にもなりませんが、「○○さんはいつも時間よりずいぶん早く会場に来て素晴らしいですね」と言われてうれしそうにしている人にかぎって、会社員の業務には熱心に取り組まず、終業時間と同時に退社。ダッシュでセミナーに参加していることがあります。

筆者の経験からいえば、毎回欠かさずセミナーに参加していた人が急に来なくなることがあります。筆者は「セミナーで学んだことをアウトプットし仕事で活かしているんだろう」と前向きにとらえますが、セミナー中毒に陥っている周囲の人は、「もったいない、今まで頑張ってきたのに」という発想になってしまいます。

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