2008年にオープンした「ロベルタズ」はミュージシャンで元バー・オーナーが友達3人とともに作ったお店。
一念発起してイタリアにピザ修行に行き、戻ってブッシュウィックに壁と天井だけのがらんどうのスペースを借り、そこに自力で電気とガスを引いてピザ釜を設置。キッチンのコンクリート打ちっ放しの床にテーブルとベンチを並べただけのお世辞にも立派とは言えない店内です。
しかし本格的なピザと建物の屋上で取れる食材を使った料理が大ヒット、DIY(Do It Yourself)レストランの先駆けとして大きく注目されました。さらに付属のインターネット・ラジオ局で、ライフスタイルの一部としての食のあり方を強く発信しています。
しかしこのように最初から店をオープンするのはハードルが高い。そこでミレニアルズの食の起業家たちがまず屋台やフードトラックで起業する例が増えています。
前述したスモーガスバーグは、元ウォールストリートのビジネスマンがプロデュースする、屋台ばかりのフードマーケットですが、100店の枠に出展希望者が殺到しています。ここで売って評判になり、ホールフーズ・マーケットに卸すようになったり、路面店を出した起業家も少なくありません。こうしたフードマーケットがインキュベーターの役割も果たしているのです。まさに食はミレニアルズにとって新たなビジネス チャンスとなり、経済の活性化をもたらしています。
変革を迫られる大企業
こうした中で従来の大企業もミレニアルズたちの嗜好に合わせた商品開発や、信頼を得るために企業イメージを変えようとさまざまな工夫をしています。
缶スープで知られるキャンベルは、V8という野菜&フルーツジュースが有名ですが、この商品ラインアップにソイプロテイン入りのエネジーバーとフルーツシェイクがお目見えしました。またここ数年売り上げが下がっていたヨープレイト・ブランドのヨーグルトは、 人工着色料、高フルクトース・コーンシロップの使用をやめたところ、売り上げが戻ったそうです。
若者に最もウケているファストカジュアル・チェーンの「チポトレ」は2015年春「GMO(遺伝子組換え食品)」を一切使わないと宣言し注目を浴びました。
そのチポトレに押されているマクドナルドでもケール入りのサラダを出すなど、ミレニアルズのファストフード離れを食い止めようと必死の攻勢に出ています。