今こそ日本人が「ストライキ」をするべき理由 小さな行動が社会全体を変えるかもしれない
新型コロナの経済への猛威が止まらない。9月1日にも、7月の派遣労働者の数が、前年同月から16万人も減少していたことが発表されたばかりだ。
筆者はNPO法人「POSSE」の代表として、例年3000件以上の労働・生活相談にかかわっているが、今年はコロナ関連の労働・生活相談だけで、すでに4000件を超えている。新型コロナ関連の相談でもっとも多いのは、「休業手当がもらえない」というものや解雇・失業に関するものだ。
しかし、緊急事態宣言が解除されて以降は、職場の「3密を改善してほしい」「満員電車を避ける時差出勤やテレワークを認めてほしい」といったものが増えている。
とくに、介護、保育など人々が日常生活を送るうえで欠かせない「エッセンシャルワーク」に従事する労働者は、危険な職場環境でも出勤せざるをえず、「3密」対策の不備は非常に深刻な問題だ。そんな中で今、海外では「ストライキ」が頻発している。ケアワーカーたちが職場のコロナ対策を求め、立ち上がっているのである。
海外のストライキは賃上げだけではない
日本でストライキと言えば、交通や製造業を中心に、中高年のはちまきや腕章をつけた男性たちが、「ベースアップ」や「賃上げ」を叫ぶ風景が思い浮かぶだろう。
しかし、海外では「賃上げ」にとどまらない社会的な要求や、職場のあり方をも変えるような闘いが行われている。とくに、教育や介護などのケア産業を中心として、「労働の質=ケアの質」を問うようなストライキが主流になっている。
ケア産業においては、労働者=サービス提供側の労働環境が、そのままケアの受け手側の健康や人生にも影響するからだ。そこには単なる労働者側の都合だけにとどまらない、社会的な正義も絡んでいるのである。