今こそ日本人が「ストライキ」をするべき理由

小さな行動が社会全体を変えるかもしれない

海外と日本ではストライキの件数も桁違いだ。次の2つの図をご覧いただきたい。図1は日本におけるストライキの件数と労働損失日数(労働損失日数とは、半日以上のストライキまたは作業所の閉鎖が行われた期間の労働者延べ人員数に対応する所定労働日数)を示している。

日本社会では1970年代を境にほとんどストライキが行われなくなってきたことがわかる。一方図2を見ると、日本以外の国では今でもたくさんのストライキが行われている。

 

参加した9割以上はケア産業の労働者

中でも2018年のアメリカは「ストライキの年」と呼んでも過言ではないほど、ストライキが盛り上がった。アメリカ労働省の統計によれば、2018年は全米で48万5200人がストライキに参加しており、これは1986年以来最多である。

さらに注目すべきはその内訳で、ストライキ参加者の90%以上は、教育、医療そして介護といったケア産業で働く労働者だった。その中でもとくに中心的な役割を担ったのは、公立学校教員によるストライキだ。

計算上は、全米の公立保育園、小学校、中学校、高校で教鞭をとる教員のうち、20人に1人がストライキに参加したほどだ。そこで争点になっているのは、教員の賃金だけではなく、学校の民営化・営利至上主義や教育の質の劣化に対する抗議、地域の貧困対策の強化など、「地域社会」を守るための要求だ。

さらに、教師たちの労働運動は、ほかの下層労働者たちによる、アメリカの最低賃金引き上げ運動とも連帯し、ニューヨーク州やカリフォルニア州といった大都市圏で「時給15ドル」を実現した。

いまアメリカでは、単なる職場内、あるいは産業内部での賃金闘争を超えて社会的課題に取り組む「社会正義のための団体交渉(Bargaining for the Common Good)」という概念が定着しつつある。

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