今こそ日本人が「ストライキ」をするべき理由

小さな行動が社会全体を変えるかもしれない

それでは、日本のストライキはどうだろうか。最近では日本においても、教師や保育士といったケアワーカーたちによるストライキが目立ってきている。

厚労省の今年度のストライキ調査によれば、国内のストライキ件数は過去最低を記録したが、ケアワーカーのストライキはその中で目立っている。産業別では、「医療・福祉」は12件6523人が参加し、最多だったのだ。

例えば、介護労働者と保育労働者を組織する「介護・保育ユニオン」では、2020年になってからすでに3つの保育園で終日ストライキをしており、これは同ユニオンにとっても今までにない傾向であるという。

「質」を求める保育士たちのストライキ

彼らの要求もやはり「労働(保育)の質」に関するものが中心だ。その動きがコロナ禍で加速している。

例えば、今年6月から8月にかけて、横浜市鶴見区の小規模認可保育園で、個人加盟の労働組合である介護・保育ユニオンに加盟する2人の保育士が、90日を超える終日ストライキを行った。

2人の保育士を90日間連続のストライキにまで踏み切らせた直接のきっかけは、今年春に彼女たちが、新型コロナウイルスの感染対策などを保育園に求めたことである。同園では、緊急事態宣言が出される中、登園児数が1日1~2人のみにまで減少した。

それにもかかわらず、正社員の保育士は全員が出勤を指示され、園児・保育士共に感染リスクの高い環境になってしまっていた。そのため、出勤する職員も減らすよう、この2人の保育士たちが会社に抗議したのだ。

また、別の保育所では経営陣が、「保育士が多くなることに意味はない。法人としては保育士の人数が減って、利益が上がると、全部がよい」「保育士は子どもをフロアのコーナーで見ていればいい」「散歩も行きたい子だけでいい」などと、利益のために保育の「質」を下げることを正当化していたという。こうした圧力に抗議し、園長自らがストライキに踏み切った。

さらに、職場の過半数を占める総勢10人以上がストライキを行った保育園もある。この保育園でもやはり、保育士たちが保育環境の改善を求めても無視されつづけたことがストライキの理由だった。

いずれの保育士たちも、コストカットで利益追求を図る経営者から「保育の質」を守るために声を上げていた。

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