今こそ日本人が「ストライキ」をするべき理由 小さな行動が社会全体を変えるかもしれない

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アメリカの教員ストライキだけではない。世界のストライキでは、必ずと言ってよいほど、「賃上げ」の論理を超えた社会正義が掲げられている。

韓国では2017年に、政府によるメディアに対する介入に反対して、2つしかない公営放送2社(KBS、MBS)の両方で同時にストライキが行われた。

KBSでは5カ月近く、MBSでは72日間にわたって行われ、スト期間中は労働組合に所属する記者やディレクターなどが番組制作を拒否したため、ほとんどの番組が中止もしくは再放送となった。それでも国民の66.4%は「公営放送の正常化に共感する」と答え、世論はストライキを支持している。

ストライキはさまざまな目的で行われる

また、同じく韓国では、2019年に性暴力を問題とするストライキも大規模に展開され、注目を集めた。都市ガスの安全点検業務を担っていた女性労働者たちが、顧客から性被害にあう事件が横行していたことに抗議し、数十人が124日間にも及ぶストライキを決行。会社側は安全対策の強化など要求のほとんどすべてを受け入れた。

さらに、ストライキは移民問題や気候変動問題といったグローバルなイシューに対しても行われている。

ドイツでは、パイロットが難民申請を却下された移民の強制送還に反対するために、送還される外国人の搭乗する飛行機の操縦を拒否している。2017年に報道されたところによると、ドイツからアフガニスタンへ向かう222のフライトがパイロットの操縦拒否によりキャンセルとなった。

アマゾン本社で働く労働者たちは「気候正義のためのアマゾン従業員(Amazon Employees for Climate Justice)」というグループを結成し、グレタ・トューンベリ氏が呼び掛ける「グローバル気候ストライキ」に合わせて1749人が一斉に仕事を引き揚げ、街頭での抗議行動に参加した。

以上のように、世界ではストライキが社会正義を問いながら「進化」している。そして、新型コロナ禍が広がる2020年現在も、その姿勢は変わっていない。むしろ、そうした「社会正義」を求めるストライキが前面化していると言ってもよい。

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