今こそ日本人が「ストライキ」をするべき理由 小さな行動が社会全体を変えるかもしれない

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これまでにも保育園では2017年の世田谷区の保育園の「一斉退職」に見られるように、「辞めてしまう」ことが選択肢の中心となってきた。

しかし、ケアワークの労働問題は「自分が辞める」だけでは解決しないと考える労働者が増えている。「利用者を守らなければならない」からだ。「労働者の連帯」はストライキの本質的な要素だが、ケアワークのストライキでは、労働者と「利用者」や「地域・社会」との連帯こそが、重要になる。

「一斉退職」から「ストライキで改善」へ。「労働問題」から「社会問題」へ。こうした地殻変動が、起こりつつある。

質を重視するストライキへ変貌

『ストライキ2.0 ブラック企業と闘う武器』(集英社新書)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

このうねりは、コロナ禍で一層加速するだろう。コロナ禍は、人々の生活を支える「エッセンシャルワーカー」(ケアワーカー)の重要性を社会に示す結果となり、彼らの労働条件が極めて劣悪であることも、改めてクローズアップしている。

このようにケアワークの「職業の価値」が見直される今日だからこそ、これからのストライキは職業の価値を見直し、質を重視するようなストライキへと変貌している。

ストライキのイメージは、「賃上げを求めて闘う男たち」のイメージから、利用者や社会を守る「優しいストライキ」へと転換していくだろう。そして、「優しい」からこそ、極めて激しいストライキが隆盛していくのだ。

今野 晴貴 NPO法人POSSE代表
こんの はるき / Haruki Konno

1983年仙台市生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。これまで2000件を超える労働・生活相談に関わる。「ブラック企業」で2013年流行語大賞トップテン受賞。著書に『ブラック企業ーー日本を食いつぶす妖怪』(文春新書、2012年、第13回大佛次郎論壇賞受賞 2013年)、『日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?』(星海社新書、2013年)などがある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事