今こそ日本人が「ストライキ」をするべき理由

小さな行動が社会全体を変えるかもしれない

ここでも、アメリカのケアワーカーを事例に見ていこう。今年7月、テキサス州ヒューストンでは、ハンブルリハビリテーション病院の約30人の看護師がストライキやデモ行進を行った。

彼らは、看護師に対し患者の比率が非常に高く、ケアや安全が脅かされていると主張している。また、医療用具も不足しており、患者は看護師が防護服を身に着けていないことに不安を募らせているという。そのため、これらの状況の改善に加え、新型コロナに対する危険手当を求めている。

また、カリフォルニア州では、7月20日から数百人の医療従事者が5日間のストライキを行った。ここでの要求も、以前から引き続き賃上げと健康保険の改善に加え、十分な個人防護具(PPE)の提供である。

さらに、9月に入ってからシカゴでも4000人の看護師など医療従事者がストライキを行っている。ストライキの結果、200人以上の看護師増員、90日分の個人防護具の用意、病院の空調設備改善、危険手当の支給を実現している。

このように、新型コロナに対する対応が後手に回る中で、アメリカの看護師たちはただ「自分が頑張る」だけではなく、その改善を所属先の病院や社会に訴え、実際に改善を実現しているのである。

BLMとストライキ

今、世界の注目を集めているアメリカ黒人の差別撤廃に向けた闘争にも、労働者たちのストライキは鋭く絡んでいる。労働者たちは、ストライキによって、黒人差別への抗議を示しているのだ。

全米でファストフード労働者から、空港の従業員、運転手、介護者、中流階級の教師や看護師、さらには高給のグーグルのエンジニアまでが、業界・職種の垣根を超えて黒人差別に抗議し、ストライキを行っている。7月20日には、25を超える都市で、さまざまな職種の何万人もの労働者が同時にストに突入した。

また、終日のストライキができなかった労働者たちの間でも、8分46秒の間(警察官が黒人のジョージ・フロイド氏の首に膝を押しつけていた時間)仕事を拒否するキャンペーンが広がっている。ワシントン州のぜネラル・ストライキでは、250カ所以上で、上部団体に指導されないワイルド・キャットストライキが行われている。

このように差別と闘い、「社会正義」を追求するストライキは一過性のものではなく、これまでにも繰り返されてきた。

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