若者が来ない!「自衛隊員募集」の深刻現場

ネットやアニメで募集活動を強化するが…

元防衛副大臣の長島昭久衆院議員は、自衛隊の人材不足に危機感を示す。同氏はロイターに「本当に深刻だと思う。20年後、人からロボットに相当置き換えていかない限り、募集の強化で今の戦力機能を保っていくことは難しい」と語った。「日本を取り巻く情勢を考えると、だんだん平和になっていくわけではないから、非常に深刻だ」。

自民党国防部会長で元防衛副大臣の若宮健嗣衆院議員は、業務や機械の省人化、無人化、ドローン、人口知能(AI)などの活用に向けた努力が必要だと説く。

ただ、年末に発表される防衛大綱の見直しに向けて自民党がまとめた提言の中にも、人材確保の決め手となる策は見当たらない。

自衛隊の採用対象人口(18歳から26歳)は、ピークだった1994年の1743万人から、2018年には1105万人まで減少。今から10年後には1002万人まで減る見込みで、その後も同様のペースで減少していくことになる。

自衛官候補生試験の応募者数も、2013年の3万3534人から2017年には2万7510人に減少した。

自衛隊業務の制約要因

このトレンドが続くと、自衛隊の現場の活動にとって制約となる可能性がある。元防衛審議官で政策研究大学院大学シニア・フェローの徳地秀士氏は「地域の安全保障上の課題に対応するため、日本は中国の海洋進出や朝鮮半島など、近隣の問題に焦点を当てる必要がある」とした上で、人員不足がこうした業務に影響すると指摘。「悩みの種だ。より少ない人数で、今まで以上の業務をこなす必要がある。簡単な解決策はない」と言う。

長島衆院議員も「もうPKO(国連平和維持活動)などは出せないと思う。そういう選択になる。日本周辺の安全、安定を守っていくために、そこに資源を集中させるしかない」と語った。

自衛隊の定員24万7154人(2017年3月31日現在)に対し現員は22万4422人で、充足率は90.8%。内訳では幹部自衛官の方が充足率が高く、「士」と呼ばれる一番下の階級では73.7%にとどまっている。

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