底力を発揮する日本の蓄電池産業、新エネルギーブームで世界が注目

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焼き物技術の成果 先行する日本企業

青森県六ヶ所村。ここで世界でも初となる蓄電池併設型の風力発電所が、08年5月から本格稼働を始めている。風力発電量が、あらかじめ定めた基準値を上回れば蓄電池に充電され、逆に下回れば放電され、発電量の平準化を行っている。

ここで使われているのは「NAS(ナス)電池」と呼ばれる特殊な蓄電池。世界でも日本ガイシだけが事業化し、02年から製造、販売を行っている。外観は普段見る電池とは程遠く、ペットボトルほどの電池セルを350本直列でつなぎ合わせ一つのモジュールを構成。それを何段も積み重ねて大型の蓄電設備を造り、300度という超高温に熱して作動させる。

NAS電池が大規模な蓄電設備に適している理由は大きく三つある。一つ目は、エネルギー密度(ある一定量の蓄電池に蓄えられるエネルギーの大きさ)だ。旧型の鉛蓄電池に比べて3倍の性能があり、その分小型化が可能となる。二つ目はほかの蓄電池よりも比較的安価なこと。基幹部材の電極には入手が容易なナトリウムと硫黄を使用するため、材料コストが安い。三つ目は15年の継続使用に耐えられる寿命の長さだ。

日本ガイシの岡本貫之・電力事業本部長は「かつては米ゼネラル・エレクトリック(GE)、日立製作所など多くの電機メーカーが実用化を試みたが次々と失敗し、うちだけが開発競争に生き残った」と語る。

最大の技術的障壁は、電極材料のナトリウムと硫黄を分離するセラミック管の製造だった。この管は、ナトリウムと硫黄の化学反応を妨げない程度の密度で、かつ1ミリメートル強の薄さで均一生産するという高度な焼き物の技術が必要となる。日本ガイシは、祖業の碍子(がいし)で培ったセラミック技術を生かしこの壁を突破した。

発売直後はピークシフト用(安価な夜間電力をためて昼間に使用する効率化用途)、非常時のバックアップ用として国内の工場や変電所を中心に販売していた。しかし07年以降、再生エネルギー関連での引き合いが増えてきたという。前述の青森県の風力発電所に加え、最近では08年12月にドイツのメガソーラー向けにも受注契約を結んだ。「今は09年いっぱいまで注文で埋まっている状態」と岡本氏は言う。

再生可能エネルギー用蓄電池は、いまだ一部の電力会社等での試験導入がメインだが「やがては電力需給が不安定になり始め、需要も本格化してくる」と岡本氏は予測する。日本ガイシでも現在、113億円を投じて、10年6月までにNAS電池の生産能力を1・7倍に引き上げる増強工事を行っている。

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