コカ・コーラ自社メディア「ジャーニー」の試練 悩みの種はFacebook流入の減少

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現在、コカ・コーラは18の市場別にそれぞれの「ジャーニー」を展開中。バスク氏は、来年にはその数を倍増させる計画だ。現在の「ジャーニー」は少人数のスタッフと編集者で、カルチャーやイノベーション、環境問題に関するコンテンツを配信し、ほぼすべてのカテゴリーをカバーしたブランディングをしている。

ソーシャルプラットフォームの台頭で、「ジャーニー」チームの運用方式も変化せざるを得なくなった。今後の変化についても、注意深く静観しながらのアプローチが唯一の策だと語る。

インスタグラム参加はほかより遅く

コカ・コーラが写真共有サイトのインスタグラムのアカウント(@thecocacolaco)を作ったのが、2015年5月と、ほかのブランドと比べて遅かった理由もプラットフォーム活用に際しての慎重な姿勢の現れだ。「戦略的かつ質の高いアカウント運用ができるまで、われわれは慎重に時間を要した」とバスク氏はいう。

一方で、インスタグラムのアカウントで、アメックスのカードをシンプル化したイメージや、ウォッカのボトル写真などを使って上手くいったブランドのように、コーラ瓶の美しい写真ばかりを投稿しようという気はないのだという。「われわれのインスタグラム上での課題は、綺麗なコーラ瓶の写真以上にクオリティーがあるものを配信していくことだ」とバスク氏は語る。

しかも、現在のフォロワー数、3000人を切るほどでは、投資に見合わないかもしれない。同社のFacebookフォロワー数は約100万人、ビジネスパーソン向けのソーシャルメディアであるLinkedIn(リンクトイン)では80万人を少し下回り、Twitterでは約40万人ほどのフォロワー数を誇る。

コカ・コーラはほかにもソーシャル戦略の見直しを試みた。プラットフォームごとに「ジャーニー」のコンテンツの最適化をし、オーディエンスが「ジャーニー」に戻ってくるような施策を実施。やみくもにコンテンツを無数のプラットフォームに配信せず、最適な記事のプロモーションを模索するようになったのである。

「ジャーニー」で、いまもっとも人気の記事は、同社の傘下にあるオネスト・ティー(Honest Tea)社のCEO、セス・ゴールドマン氏への事業計画やキャリアについてのインタビュー記事だ。Facebookでの「いいね!」数は16と、取るに足らない数字だったが、LinkedInでは約1000も「いいね!」を獲得していた。

これについて、コンテンツキュレーションの重要性を示した「素晴らしい例」だとバスク氏はいう。「この数字は成功だ。われわれが予想した通り、リンクトインが最適なプラットフォームだというのも当たった。バスク氏は、現状での課題は、『ジャーニー』を通してわれわれが何をしているのか、オーディエンスに理解してもらうことと、これからもオーディエンスとの関係性を維持していくことだ」と話した。

Shareen Pathak(原文 / 訳:南如水)

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DIGIDAY[日本版]編集部

2015年9月1日にローンチした「DIGIDAY[日本版]」を運営。同サイトでは米「DIGIDAY」が日々配信する最新のデジタルマーケティング情報をいち早く翻訳して掲載するほか、日本国内の動向についてもオリジナル記事を配信している。メディアジーンが運営

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