コカ・コーラ自社メディア「ジャーニー」の試練 悩みの種はFacebook流入の減少
「ジャーニー」には、総勢12人の記者と編集者が配属されている。コンテンツには、新しいボトル紹介などのストレートな記事から、ブランド名すらコンテンツ内に出さない健康関連のニュースといった記事も配信している。
同社は、過去3年でブランドのソーシャルメディアのフォロワー数が50%増加したのは、「ジャーニー」に起因するものと見ている。しかし、ソーシャルメディアの測定手段やデータは、パブリッシャーに都合がいいように計測される可能性もないわけではない。そこで、記事のROI(投資対効果)を独自に算定する指標を編み出した。それはページビューや直帰率、閲覧率や滞在時間、シェアリングやコメントなどのような既存の測定手段を一体化させたもので、「興味に対する表現」(expressions of interest:通称EOI)と同社では呼んでいる。
EOIでは、反復投稿や、ソーシャルメディア上での過度な露出に起因するエンゲージメントなどを除外した。「読者への配信や対話方法を変えなければ、『ジャーニー』の未来はないだろう。それを算定する指標がEOIなのだ」と、バスク氏。
外部への配信も意欲的に
Facebookでの訴求力の低下を補うような選択肢も視野に入れている。そのひとつがソーシャルプラットフォームでのコンテンツ配信だ。バスク氏は、Appleの「News」や「Pocket」などのアプリ活用も選択のひとつとして入念に検討中だ。
Facebookの「Instant Articles」への参加も模索しているという。しかし、現在は「Instant Article」を利用できるのは老舗パブリッシャーだけに限られているため、コカ・コーラのようなブランドが参加することはできない。これに関して、バスク氏は返答をしぶり、「私がいえるのは『とにかくコンテンツを見て欲しい』ということだ」とだけコメントした。
「パブリッシャーにとっての復興期を迎えているといっても、その瀬戸際に立たされている」とバスク氏。「質の高いコンテンツを届けるのに最適なプラットフォームを厳選するべきだ。そこを間違ってしまうと、われわれの進歩はありえない」。
Facebookの「Instant Articles」に関しては、現在、少数のパブリッシャーしか参加していない。 しかし、GEのようなジャーナリズム上に強力な存在感をもつブランドは、参加に意欲的だ。だが、「Instant Articles」で展開するBuzzfeedなどのパブリッシャーは、スポンサードコンテンツを配信することを禁じられている。