本末転倒の金融行政、無責任な政治圧力に屈する危うさ

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 9月のリーマンショック以降、日銀や政府系金融機関を使ったさまざまな資金供給策にもかかわらず、直接金融市場の機能は凍りついたままで、回復は鈍い。それだけに、銀行融資に期待が集まるわけだが、銀行の財務が悪化し、健全性が損なわれれば、もっと始末に負えなくなる。10年前には、邦銀は軒並み債務超過に陥ったので、貸し渋りどころか貸し剥がしが横行した。過去の例からも予防的な資本注入は有効だが、仮に、破綻処理による公的資金注入が必要な事態となれば、多大な国民負担となる。今の欧米が抱える問題だ。

「邦銀は欧米銀のように高リスクのハイレバレッジ運用を行っていない」というが、邦銀独特の政策株式の保有は銀行の資本のボラティリティを著しく高めている。有価証券の減損額は第3四半期で多いところで、大手行で5000億円、地方銀行では1000億円に上る。株価が大幅に下落すると決まって株式の買取機構の話が出るが、株価が急落している現局面では、損を確定する売却はしにくい。株価が安定している時期に持ち合いの解消策を進めておくべきだったのだ。

地銀109行の中には、収益力が小さく、貸出金の0・5%の与信費用が出れば、業務純益が吹き飛ぶ銀行も少なくない。03年~07年までに不良債権処理は進んだものの、再編は進まず、潜在的な脆弱性は残されたままだった。だから危機は繰り返される。

「金融庁は、我が国の金融の機能の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者その他これらに準ずる者の保護を図るとともに、金融の円滑を図ることを任務とする」(金融庁設置法)。金融機関の健全性を損なうことは本末転倒である。選挙対策ばかりの政治家に翻弄され、レゾンデートルを見失っている金融行政に不安を感じるばかりだ。

(大崎明子 =週刊東洋経済)

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