揺らぐ中国の「自信」、8%成長の自縄自縛

中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)の第11期大会第2回会議が3月13日に閉幕した。建国60周年の節目となる大会だったが、政治改革や幹部の腐敗対策などといった懸案はほとんど棚上げ。減速を始めた経済をどうするかが最大の焦点となった。

温家宝首相は最近、「自信」(中国語では「信心」)という言葉を経済政策のキーワードにしており、今回の全人代でも「自信は黄金や貨幣よりも重要だ」というスローガンが繰り返し使われた。大会冒頭の演説で8回も口にし、ほかの閣僚も記者会見でこの言葉を連発した。世界同時不況のさなかにある指導部の危機感の強さが感じられる。

その温首相は3月5日の全人代開幕時、今年の経済成長率の目標を「8%前後」と宣言。昨年11月に公表した、2010年までに総額4兆元(約58兆円)の景気刺激策を実行することをあらためて表明した。

5年連続で2ケタ成長を続けてきた中国経済は昨年半ばに失速。昨年9月のリーマンショック以降は、米欧向けの輸出が減少したことでさらにブレーキがかかった。昨年11月から輸出はマイナスを続けている。

輸出は国内総生産(GDP)の約4割に相当し、中国の高度成長の原動力となってきた。そのため、内需の拡大でこの局面を打開することが急務となっている。昨年末までに1000億元が投下されたが、10~12月期の成長率は前年同期比6・8%にとどまった。

中国には新規就業者を吸収するために最低8%の成長が必要との通念が存在する。国債残高は6兆元余りで、GDP(08年で約30兆元)との対比ではなお財政出動の余力がある。それだけに全人代では、4兆元に上乗せする政策が出るのではないかとの期待が国内外から出ていた。だが、5日に開幕した全人代では4兆元政策の内容や財源の説明があったのみで、追加的な対策はなかった。

8%成長死守へ 政策を総動員

中国のマクロ経済政策の司令塔である国家発展改革委員会の張平主任(閣僚)は6日の記者会見で、「一部のデータは回復を始めているが十分かどうか。情勢によっては、投資を追加する可能性もある」と、今後の動きに含みをもたせている。

野村資本市場研究所の関志雄・シニアフェローは「自動車販売など消費に明るさが感じられる。最悪期はすでに脱しつつあり、1~3月期が景気の底になるのでは」と指摘する。この前提に立てば、追加策を打つとしても、それは年後半にかけてになるだろう。

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