御厨:本当にそう思います。お互いに不幸です。かつて民主党はもっと開放的で、熟議デモクラシーというものは彼らのためにあった。政権からころげ落ちて「決めるために議論しよう」という大切な部分まで捨てた。安倍政権は「議論をして決める」ということを意図的に落としているから、そこに民主党の付け入る隙はあるはずなのですが。
木本:ええ!? 安倍さんは議論せずに決めているんですね。
御厨:そう。新しい問題が出てきた時に、対策本部とか有識者委員会とかできた時にはだいたい方向性は決まっています。民主党の場合は、「こっちに持っていきたいんだろうな」というのはあったけど、平気でそれを崩す未熟さがあり、モノが言いやすかった。今の自民党には言えません。すでに決まっていますから。
木本:「ノー」といえる環境ではないと。
一度決まったことに従うことの重要性
御厨:安倍政権では議論をする部分が飛んでいる。自民党の連中も議論しない。
木本:民主党やほかの野党も本来の核となる会議に参加させてもらってないということですね。
御厨:はい。今はそうなっていますね。
木本:そこがいちばん大事ですね。
御厨:でも、彼らもそこに出席できるなら議論するけれども、最終的には決まったことに従わないといけない「決着を付けたらそこに収まる」ことが必要。でも「学級会民主主義」という部分ですら守られなかったことがあったから。
木本:民主党を揶揄した言葉ですね。
御厨:いったん決めたものを次の日にひっくり返すんですからね。そんなことではみんなが疑う。「多数決で決まったのだったら、そこにいけ」と。そこが民主党は未熟だった。
木本:会社にも各部署にいますよね。言うことがスグに変わる人がね。それが民主党だったんですね。
御厨:だから国民は前政権よりましと思ってしまっている。大事なのは「民主党には原点に戻れ」と言うこと。そして我々学者を含めて、3年3カ月を客観的に研究しなければいけない。民主党にあって自民党になかったものを浮かび上がらせる。花は咲かなかったけれど、次に政権執った時には、そこを主張していけばいいんです。
木本:ありがとうございます。大事なことが頭の中でよく整理できました。
(構成:高杉公秀、撮影:梅谷秀司)
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