安倍カラー「自民60年」が暗示する日本の針路 「困難な道を突き進んだ歴史」を強調したワケ
1955年11月15日に誕生した自民党は、今年で結党60周年を迎えた。人間でいえば還暦に当たる節目。還暦とは干支が一巡して誕生した年に戻ることを意味するため、「赤ん坊に戻り生まれ変わる」とも言われている。
では自民党は、どのように生れ変わろうとしているのか。11月29日に都内で開かれた記念式典に行ってみた。そこは、まさに安倍首相のための式典。これでもかというほど「安倍カラー」で彩られていた。
スクリーンに次々現れたキーワード
開会は、巨大スクリーンに流される日の出の映像から始まった。餅つき、着物を着た少女の神社参拝姿、農村の映像へと変わっていく。そして60年前の自民党の結党大会の写真とともに、歴代総裁の写真が流された。
「日米安全保障条約批准」、「所得倍増計画」、「沖縄返還」、「日本列島改造論」、「戦後政治の総決算」、「消費税導入」、「PKO協力法案成立」と、歴代の自民党政権のキーワードが次々と現れる。それらは日本の戦後史そのものに見えながら、実は安倍晋三首相が成し遂げた、またはこれから取り組もうとすることを暗示しているようにも思えた。
そして一転して、スクリーンにはラグビーの試合の映像が流された。会場からどよめきが湧きあがる。中央の演壇に現れたのはラグビー日本代表のフルバック五郎丸歩氏。今年9月、ラグビーW杯イングランド大会でわが国初の3勝に導いた立役者だ。
「誰もが勝つわけないと思っていたと思う。ただひとり、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチだけが勝つという思いを示してくれたところ、少しずつ我々も勝つ気持になり、私も南アフリカ戦1週間前には勝つつもりになった。そして3点差で迎えたラストのワンプレイで逆転し、ワールドカップ史上一番の番狂わせを起こさせていただいた」
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