木本:ですよね。それは僕がわかっていないだけで、実は、5人で作った人は大きな志があって、「上手に組んでいって、大きな党になるんだ」というプランを持っていると、どこかで信じたい!
御厨:そんな志がまったく無いとは言いませんが、なぜ5人でやっているかは考えるでしょう。でも5人では何もできない、大きいところに付かなければいけない。そこで初めて政党間交渉が始まって、「政策はどうする、選挙区をどうする?」と話し合う。総合的なプランニングを立てないと政党は大きくできないから、野党は勉強するはずなんです。そのサイクルがなければ、政党は大きくならない。
なぜ野党は足を引っ張るだけに見えるのか
木本:ジリ貧ですよね。それと、もう一つ疑問は、国会におけるヤジ。僕たちからしたら議員さんは一流の人達なわけですよ。それがコントと思われても仕方ないことを延々とやっている。野党が与党の足を引っ張ったり、ヤジを飛ばすのはどんな意味があるんでしょうか?
御厨:今回も復興大臣の足を引っ張って、肝心な復興の議論をしていない。それはおかしいと思います。でも、野党にはそれが期待されていて、大臣に傷を付けて辞任に追いこめば点数になるという、悲しい消極的点数主義。
木本:ネガティブな行動は自分たちのためなんですね。
御厨:そのとおり。自分たちのためであり、そうするとメディアが書いてくれるわけです。野党にとってはメディアにどう書かれるかがいちばん大事なんです。
木本:ああ。マスコミに出ることで個人や政党のアピールになると。
御厨:だからメディアがそういうものを報道しなければ変わるかもしれない。「高木復興大臣のスキャンダルで、政府が苦境に立った」と書くから、かえってお祭の続きになる。僕は我々の国のデモクラシーがいい方向にいくには、メディアが勉強して、そういう報道がおかしいという方向にいったほうがいいのではないかと考えています。
木本:うーん。でもわざわざ予算委員会で追求する意味があるんでしょうか?
御厨:ないですよ。本来ならば、国会の別の委員会でやればいいのに。だけどそこで集中してやってミゼラブルなものになっている。
木本:ミーティングや会議、会社でも、否定する時や、気に入らない時があれば代替え案を出せというのが暗黙の大人としての社会常識ですよね。国会ではそれができない。反対案をつつく。で、対案を出す。同じようにすればいいと思うんですけど、何でできないんでしょうか?
御厨:国会での質疑は、野党が与党の議員に対して責め立てるというのが慣習化されていて、その逆が言えない仕組み。永遠に与党が追求されてしまう。
木本:仕組み自体がそう決まってしまっている。
御厨:双方が対等に立てるような、「野党が対案持ってきてごらん」というふうに変えないと、永遠にそのままです。
木本:そこはぜひ変えて欲しいですね。
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