岐路に立つドコモ、1位なのは「契約数」だけ 起死回生の道はあるか
さらに、MVNOなど新興勢力による割安サービスも浸透し始めており、これまでお仕着せの料金プランを選んできたユーザーもさまざまな選択肢を手にしている。
魅力的なサービスもアイフォーンもなし
ドコモはアイフォーンを売らずに「独自サービスで戦う」ことをモットーとする。音声検索機能の「しゃべってコンシェル」やメールの翻訳機能など、目新しい技術は出てきているが、それだけで買いたいと思わせるほどの魅力的なサービスとは言いがたい。
そんなドコモを国内証券アナリストは「どんどん顧客が離れているのに危機感を感じているように思えない。2、3周遅れでトップを走っているのに、いまだに1番で走っていると錯覚しているような状況」と皮肉る。
株主の不満も頂点に達している。今年6月に開かれたドコモの株主総会は、孫正義社長に賛美の声が上がったソフトバンクや、終始穏やかなまま終了したKDDIの総会とは対照的な雰囲気に包まれた。複数の株主が「競合への乗り換えが止まらないが対策を考えているのか」、「いったい、いつになったら株価が持ち直すのか」などと相次ぎ批判。山田隆持社長(当時)は「申し訳ございません」と頭を下げざるをえなかった。
巻き返しを図るべく6月に新しく就任した加藤薫社長の執務室には、張り紙が複数張られている。ドコモは新中期計画で通信以外の分野のM&Aに2000億円から3000億円の巨額投資を決めておりその進捗率を可視化するためのグラフだ。重点領域に定めた8分野の担当者名とM&Aの進捗率が書かれ、加藤社長はこれを見ながら各部門にハッパをかける。