草刈り場になるドコモ 5年ぶり契約数純減

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NTTドコモの迷走はいつまで続くのか。同社が12月7日に発表した11月の携帯電話契約純増数(新規から解約を差し引いた数値)は、前月比で4万0800件のマイナスだった。純減となるのは2007年8月以来、5年3カ月ぶりで過去最悪の減少幅だ。

顧客の流出が止まらないのは、9月下旬に発売された米アップルの「アイフォーン5」の影響だ。同製品を取り扱うKDDIとソフトバンクが契約数を伸ばしているのに対し、取り扱っていないドコモは対抗する有効な策を打ち出せず、一気に流出が加速してしまった。

苦戦の理由はそれだけではない。ドコモの強みだった「電波のよさ」に対するユーザーからの信頼が揺らぎつつある。11年以降、通信障害が頻発。直近でも11月14日にスマホのネット接続サービス「SPモード」で障害が発生したばかりだ。

アイフォーン5が次世代高速通信「LTE」に対応したことも大きい。ドコモは他社に先駆けて10年末にサービスを始め、「Xi」ブランドを大々的に打ち出してきた。だが、アイフォーン5発売に合わせてKDDIとソフトバンクも同じサービスを開始したため、LTEが売りにならなくなった。10月からデータ定額の料金が従来より約1000円安い月額4935円の新しいプランを導入し割安感を打ち出したものの、アイフォーンの勢いに太刀打ちできていない。

ドコモの加藤薰社長は10月下旬の12年4~9月期決算説明会の席上で、「アイフォーン5効果は予想より大きかった。競合対策として800億円以上の販促費を積み増す」と話し、13年3月期の通期営業利益予想を800億円引き下げた。実に7年ぶりの減益になる見込みだ。

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