パナソニックが今、米冷蔵庫を買収する意味 M&A枠1兆円の今期分は使い切った

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2018年度・売上高10兆円の旗は降ろしていない(撮影:梅谷秀司)

構造改革を推し進めるべく、津賀社長は2012年の就任後、車載、住宅、BtoBの3分野に、経営資源を集中させる方針に転換。BtoBビジネスでは、旅客機向けのエンタテイメントシステムや業務用冷蔵庫などを軸に、拡大を目指している。

今回買収したハスマンが傘下に入ることで期待される効果は、手薄だった北米における業務用冷蔵庫が拡大するだけではない。照明機器や監視カメラ、業務用空調、電子レンジ、広告用ディスプレイなど、BtoBで多くのパナソニック製品を、ハスマンの販路を用いることによって、米国の食品流通業界向けに伸ばすことができる。「現在ハスマンは、米国で1位に肉薄する2位だが、冷凍・冷蔵ショーケースしか、販売していない。ラインナップにパナソニック商品を加えることで、業界をリードする存在になっていきたい」(パナソニックの本間哲朗・常務取締役)。

さらには今後、米国でもコンビニの店舗増が見込まれており、「日本でのコンビニ向け取引の経験が生きてくる」(本間常務)と自信を見せた。

製販含めたパナソニックのトータルソリューションで、年商1200億円のハスマンをどこまで化けさせることができるのか。パナの繰り出す今後のM&Aにも、少なからず影響を与えるものと見られるだけに、その成果に注目が集まっている。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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