自意識過剰が日本人のプレゼンをダメにする 話の「幹」を見失わないようにしよう

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植松さんは、祖母の言葉を受けて本が大好きになり、祖父との思い出から宇宙に興味を持ったこと、飛行機やロケットに熱中し、先生に「そんなことをしないで勉強しろ」という言葉を浴び続けた思い出を、朴訥に、平易な言葉で淡々と語る。

今では、父の立ち上げた会社でロケット開発を始めて軌道に乗せ、まさに「下町ロケット」のように夢を実現した植松さんだが、一つ許せない言葉があるという。「どーせむり」だ。「努力しても無駄、意味ねーじゃん」。こうした諦念が人々の創造力や想像力を奪ってしまう、と考えるからだ。

ご紹介したこの3つに共有するのが、プレゼンの「本質」、つまり枝葉末節ではなくて、「幹」の部分にあたるもの。今回はこの3つの幹が黄金律だ。

3つの黄金律とは?

1つ目の幹は「型を破る」だ。そもそも、プレゼンに決まった「型」というものはない。自分に似合うスタイルを見つければいい。ただ、まずは「自分の殻」を破ってみるという過程がなければ、自分に合うスタイルを見つけるのは困難だ。

ところが、日本人の最も苦手なのは、「自らのコンフォートゾーン(快適と思える空間)から1ミリでも外にはみ出すこと」。他人との調和を乱すような、「型破り」は日本ではやはり、生きにくい。ただ、自分のゾーンを抜け出さない限り、相手の懐に飛び込むこともできない。「恥ずかしい」「こんなのイタいんじゃないか」など自分の体裁ばかり気にしていては、聴衆の心は動かせないのだ。

まさに過剰な自意識の呪縛とでも言おうか。とはいえ、「殻を破る」のは容易ではない。「殻」は日本というムラ社会における、強固なディフェンスメカニズムだからだ。筆者も、まだまだ破り切れてはないが、アクティングスクールでなどで、散々、恥をさらしている内に、少しずつ薄皮がむけるように、「過剰な自意識」からは解放されていった。「恥ずかしがり」を克服する方法の回で説明したメソッドも、強すぎる自意識の解消に役に立つだろう。

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