下町ロケットに学ぶ「弱者が強者に勝つ方法」 町工場が夢を見たっていいじゃないか

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植松努さんには『NASAより宇宙に近い町工場』というタイトルの著書もある
TBSテレビで10月18日(日)よる9時からスタートする連続ドラマ『下町ロケット』(初回は2時間スペシャル)。阿部寛演じる主人公、佃航平は宇宙開発の研究員だったが自身の開発したエンジンを載せたロケットの打ち上げに失敗。その責任を取らされ退職し、父親の遺した町工場を継ぐ。しかし、捨てきれないロケット開発の夢を追い続ける――というストーリーだ。
原作は第145回直木三十五賞を受賞した池井戸潤の同名小説。文庫版を含め累計130万部を超えるメガヒット作である。池井戸潤原作のテレビドラマといえば、『半沢直樹』『ルーズヴェルト・ゲーム』(TBS系)『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)『ようこそ、わが家へ』(フジテレビ系)など高視聴率の人気作が多く、この秋、テレビ関係者を中心に『下町ロケット』への注目が集まっている。
下町ロケットの劇中で主人公・佃航平は、大口取引先を失ったり、商売敵から特許侵害で訴えられたりなど、いくつもの苦難に直面する。大手企業にあらゆる経営資源で劣る町工場の経営は綱渡りの連続。そんな佃航平が叶える夢とその裏側の苦闘を体現しているような人物がリアルの世界、それもここ日本にいる。

 

世界的な講演会を主催する非営利団体「TED」。「広めるべきアイデアを共有する場(ideas worth spreading)」の精神を基に、世界を牽引する思想家や活動家がプレゼンテーションすることで有名だ。マイクロソフト創始者のビル・ゲイツ、ロックバンド「U2」のボノ、映画監督ジェームズ・キャメロンなどがこれまでに登壇しており、全世界の人がネット動画などを通じてその模様を見ることができる。

そのTEDにおいて各地域で開催される個別のイベントが「TEDx」。その一つ、2014年7月に北海道・札幌で開かれた「TEDx Sapporo」に登壇した1人の日本人のスピーチが、世界の人々の心を打った。

「僕は小さい頃から飛行機やロケットが好きだったが、やったことのない人から『できるわけない』と散々言われた。でも思い続けたらできるようになった」

植松努。北海道赤平市の小さな町で、従業員18人の植松電機という町工場の専務を務める人物だ。この工場では最先端のロケット事業を行っている。「NASA(米国航空宇宙局)より宇宙に近い町工場」と呼ばれ、世界中から技術者が視察に訪れる。

直接のモデルではないものの、そんな植松さんの姿は、TBSテレビで10月18日(日)よる9時からスタートする連続ドラマ『下町ロケット』の主人公・佃航平と重なる。

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