竹中平蔵氏「だから僕は歴史を学んできた」 今年こそ!歴史を見る「3つのポイント」

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「少々問題が起きても、市場に任せた方がいいと思うか」、という質問をした国際比較のアンケートがあります。多くの国では8割程度の人がその方がいいと答えていますが、日本でyesと答えるのは4割程度にとどまります。

硬直化した国の在り方から脱却しなければいけないと考える人も増えてはいますが、新しいルールを作る際には国に頼ることが多く、業界で自主ルールを作ればいいというようなことでも、業界は自分たちでまとめられず、役所に相談してくるというのは、よくある話です。

変わりつつあるけれど、お上志向から抜けきれない。それは政府主導の明治維新が成功したことの証でもあるのですが、実はそれは、「川をのぼる」(歴史に学ぶ)ことはできていても、「海を渡る」(世界を知る)ということができていないともいえます。

岩倉使節団は、ドイツでビスマルクに出会いました。ビスマルクは弱小国プロイセンを率いてドイツ帝国を築いた立役者です。フランスやイギリスに追いつくために改革したということを知り、日本もそれに倣う必要があることを認識しました。つまり、当時は世界を見ていたのです。

しかし今は世界を見るという意識が希薄であり、お上志向が強いという国民性に気付いていないようにも思います。

民主主義を勝ち取った国と、急に与えられた国との差はあるのかもしれません。イギリスはブルジョアジーが自分たちの手で国王から権利を市民革命によって引き出した。アメリカは自分たちがゼロから築いた。日本は敗戦によって突然民主主義を与えられたのですから、民主主義が成熟しないのは、歴史によるともいえます。

日本では経済学の社会教育が進まない

近代民主主義思想の古典「アメリカンデモクラシー」を書いたフランスの政治思想家・アレクシ・ド・トクヴィルは、19世紀の半ば、独立後数十年しか経ってないアメリカを見て、専制政治から逃れて、自分たちですべてを決める民主主義がここまで発達しているのはすごいと感じます。

同時に彼は不安を抱きます。自分たちですべてを決めるには国民が賢くある必要があり、そのためには国民に正しく情報を知らせるメディアの役割が重要である、というものです。

そこから類推すれば、役所の記者クラブで得た情報を報じるといった日本のメディアの在り方は、お上志向から脱却できない要因のひとつといえるかもしれません。

もうひとつ、述べておきたいのは、経済学の基本的な知識を国民が理解しているかによって社会のパフォーマンスが違ってくる、ということです。

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