竹中平蔵氏「だから僕は歴史を学んできた」 今年こそ!歴史を見る「3つのポイント」
そしてそこには、リーダーが存在しています。時代を担う象徴のような人が時代をどう生きたかを知れば、時代の背景がリアルに感じられ、臨場感をもって歴史を感じることができます。それは歴史に親しむための糸口にもなるでしょう。
規制改革を嫌うのは歴史に秘密があった
日本の国民は、世界的にも珍しいくらいの「お上志向」で、政府への依存度が高く、社会的な問題を解決するのにどうしたらいいかと問うと、若い学生でさえ、政府になんとかしてもらうと答えます。
市場(民間)も失敗をしますが、政府もまた失敗します。市場が失敗すれば市場が責任をとればいいですが、政府が失敗したツケは国民に回ることになります。したがって市場を活用できるところは活用し、市場でできないことを政府がやるというのを基本的な考え方にすべきです。
しかし規制改革には反対する人が多く、なかなか規制緩和が進みません。なぜなのか。その理由は歴史に隠されています。
お上志向に至る象徴的な出来事として挙げられるのが明治維新、すなわち大久保利通を中心とする明治の近代化プロセスです。
気付けば日本は列強に取り囲まれ、植民地にされないため、資本主義を取り入れ、近代的な軍事力を備える富国強兵国で国を近代化する必要がありました。
欧州では、本源的な資本の蓄積があり、ブルジョアジーが政治的自由と経済的自由を求めて市民革命を起こし、その結果として産業革命が生まれる、というパターンがあり、イギリスはその代表例です。
しかし列強に取り囲まれた日本にはその時間的余裕はなく、スピードをもってそれを成し遂げねばならなかった。そこで資本を集めることができる政府が主導権をとり、殖産興業を進めたのです。
明治6年に派遣された岩倉使節団の副団長を務めた大久保利通は、殖産興業を一手に引き受ける役所として内務省を作りますが、すごいのは、政府に反対する人を取り締まるための警察を併せ持ったことです。それにより権利を集中させ、政府は絶対的な存在になった。政府主導という明治維新の在り方が、現在の「お上志向」に繋がっているのだと思います。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら