事業統合は日常茶飯事 これからが正念場だ 日立製作所社長・中西宏明

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

 

──それには、中西社長が繰り返し訴えている「マインドセットの変革」がポイントになりますね。

日立は技術の会社でして、工場が先にありきというようなところがある。それは決して悪いことではないんだけど、それだけじゃ足りない。さらにプラスして自分たちの製品がどういった環境で使われるのか、どういうコントリビューション(貢献)ができるのかと。そういうふうに頭を切り替えなくちゃいけない。

カギは前線に立つ人のマインドセットなんです。これまでは、各部門が自分のところの製品だけを背負っている感覚だったから、なかなか全体の“掛け算”にならなかった。でも最近は、変化の手応えがある。

たとえば、「タウンホールミーティング」(対話集会)といって、私が各事業所に出掛けていって話をし、部課長クラスを10人くらい集めて好きなことを言ってもらう。そんな取り組みを、もう20カ所くらいでやった。特に課長クラスから出てくる反応が昔とは全然違う。本当に自分の問題として考えている。

実は私がハードディスクドライブの日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST)でCEOを務めたときにも、こういうことをやったんです。HGSTは売却したが、私がCEOになったときは赤字で大変で、四半期ごとに全拠点をテレビ会議で結んでオールマネジャーミーティングをやっていた。

確かにテレビ会議だから仕方ない面もあるが、質疑応答はカリフォルニアにある本拠地サンノゼの連中がちょこちょこっとやる程度で、ダメだこりゃと。コミュニケーションとして劣悪だと思ったので、大変だけれどもタウンホールミーティングをやろうと、私が指示して、中枢のエグゼクティブで手分けして各国に散らばった拠点を回ったんです。これは、効果があった。

それまでとは反応が違う。質疑応答をやると、「そんなコストダウンばっかり言わないでくださいよ!」なんて始まるわけですよ。こっちもカチンと来て、「あのね、最高の技術ってのは、すばらしいモノを安く作ることであって、すばらしいと自分で思っているモノを高く作ったって技術としてはちっとも進歩してないんだ」ってなことをやり合う。

 

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事