事業統合は日常茶飯事 これからが正念場だ 日立製作所社長・中西宏明
規模を追うと根が腐る 捨てることもつねに必要
そのためには、まず利益率が大事だ。なぜかというと、M&Aの決断もポケットにおカネが入っていないとできない。ある事業をあきらめようと思ったときも、必ずリストラ費用がかかる。つまり、元手がないと何もできない。それから、収益性を上げるには、その業界での世界的なポジションが重要になる。収益性をどう上げるか、業界の中のポジションをどう作っていくかという問題意識を、一つひとつの事業に対して植え付けなくてはいけない。今はそういう段階です。
──これからの売り上げ規模については、どう考えていますか。
10兆円規模の企業が伸び続けていくことはない。これだけの事業規模があると、必ず根っこが腐る事業が出てくる。つねに捨てていかないとダメだ。だから、10の売上高が11や12になることはあっても、それを20まで持っていくことは考えていない。一つひとつの事業が強くて、グローバルにきちんとしたポジションを作っていくことが大切だ。
──中西社長が描く最終目標と現状にはかなりギャップがあります。
ですから、そのギャップを埋めようと、日立スマート・トランスフォーメーション・プロジェクト(スマトラ)という全社活動を進めている。スマトラは利益率を上げる活動のように見えるが、実は原価低減じゃない。トランスフォーメーション。変えなくちゃけない。