事業統合は日常茶飯事 これからが正念場だ 日立製作所社長・中西宏明
製造業で当時最大となる巨額赤字(2009年3月期)から一転、11年3月期、12年3月期と2期連続で最高益を更新し、完全復活を遂げた日立製作所。米GE、独シーメンスを相手に世界で戦えるインフラ企業を目指す日立にとって、これからの課題とは何か。変革を指揮する中西宏明社長に聞いた。
──電機業界を見渡すと日立の復活が目立ちます。ここ数年を振り返っての成功要因は。
ここまではリカバリー計画なんです。09年3月期に大赤字を出し、経営陣がガバッと入れ替わって、10年3月期の決算でもまだ赤字が残っていた。従業員も危機感が強くて、この会社はいったいどうなっちゃうのかという感じだった。そういった状況に対して、10兆円の売上高で5%以上の営業利益率、少なくとも2000億円の純利益を毎年積み上げていかなければ、日立の財務は元に戻らないという趣旨で固めたのが12年度までの中期計画。つまり、これをやらなければ生き残れないという切迫感は、私が説明しなくても自然と伝わる。こういった状況はトップとして仕事がやりやすい。私としては攻めやすい2年半だった。
ただ、これからが大変なんです。5%の営業利益率をそのまま維持するのでは、世界的なポジションは相対的に低い状況が続く。20年以上前にGEのジャック・ウェルチ氏が「世界ナンバーワンの事業以外は認めない」と言ったが、今はこれまでにも増して、世界でのポジションが一定の水準以上にないと生き残れなくなっている。実例はたくさんあって、半導体やテレビもそうだ。世界で5番目、6番目の事業はフェードアウトしてしまう。一定のポジションをきちんと築かないと、日立としてのバリューはない。